【中心聖句】

この神殿を壊してみよ、三日で建て直して見せる(19節)

 

 

今日の福音朗読箇所には「神殿から商人を追い出す」という見出しがつけられていますが、四福音書全てに書かれている大変に有名なストーリーです。

 

ただ興味深いのは共観福音書(マタイ、マルコ、ルカ)ではイエスが十字架につけられる直前の出来事とされているの対し、ヨハネによる福音書は「カナの婚礼」に続くイエスの活動の最初期の出来事としている点でしょう(雨宮慧『主日の聖書解説<B年>』pp.53~54)

 

さて、エルサレム神殿の境内、いわゆる「異邦人の庭」(下図の"Court of Gentiles")では牛や羊、鳩を売っている商人や両替商たちが商売をしていました。

 

牛や羊、鳩とあるのはお土産用ではもちろんなく、神殿で生け贄として捧げる動物です。エルサレムや近郊に住んでいれば自宅から持って来ることも出来ますが、遠方からはるばる来る場合には神殿で参拝する前に購入することになるわけです。

 

牛や羊の捧げ方についてはレビ記1~4章に詳しく書かれていますし、鳩は貧しくて羊や山羊を買う金がない場合の替わりとされました(レビ記5章7節)

 

鳩については、ヨセフとマリアが山鳩一つがいか家鳩の雛二羽を生け贄として献げるために幼いイエスをエルサレムに連れて行った(ルカによる福音書2章22~24節)という出来事が思い出されますね。

 

また、20歳以上の男子は銀半シェケルを献納物として納めることが決められていましたが、そのためには日ごろ使っているローマの通貨から古い通貨に両替する必要がありました。

 

生け贄とされる動物の値段はいわば売り手の言い値だったでしょうし、通貨の両替レートも不正の温床です。

 

そうした商人たちを見たイエスは暴れだし、鳩を売る商人たちに向かって「このような物はここから運び出せ。わたしの父の家を商売の家としてはならない」(16節)と言いました。

 

その様子を見た弟子たちは「あなたの神殿に対する熱情が私を食い尽くしているので」という詩編の言葉(69編10節)を思い出しました。

 

このイエスの粗暴とも思える言動の背景にあるのは「その日には、万軍の主の神殿にもはや商人はいなくなる」という旧約聖書ゼカリヤ書(14章21節)の言葉でしょう。

 

そして、それこそが救いの完成を告げる新しい時代の幕開けの宣言だったのでした(雨宮慧『主日の福音ーB年』p.321)

 

ところが残念なことに弟子たちがその事を悟ったのはイエスが復活してからのことでした(22節)