先週は夏休みで休刊となっていた週刊文春が昨日、発売されました。
やはり注目されていたのはいわゆる「木原事件」について「文春砲第7弾」が放たれるかどうかでした。
改めて、「文春砲」の経緯を簡単におさらいしておきましょう。
最初、週刊文春は木原官房副長官には愛人とその子どもがいて、休みの日にはディズニーリゾートに連れ立ってでかけたり、首相官邸に愛人宅から出勤したり、といわゆる「不倫問題」を取り上げていました。
ですので、読者も「まあ、『英雄、色を好む』だね」とか「よっぽど奥さんと上手く行ってないんだね」などと、苦笑いしながら読んでいたと思います。
ところが、7月に入って木原官房副長官夫人の前夫である安田種雄氏の死亡事案を報じるようになったのです。これで様相はガラッと変わりました。
ただし、この死亡事案が起こったのは2006年10月で木原官房副長官が現夫人(X子さん)と結婚する前のことですので、少なくとも2006年の時点では「木原事件」と呼ぶことはできません。
「木原事件」と呼ばれる発端となったのは12年後の2018年になって2006年の事案の所轄であった警視庁大塚署の女性刑事がいわゆるコールド・ケースの一つに目を留めたことでした。
そのコールド・ケースについて警視庁捜査一課が本格的に動き出し、改めて関係者の事情聴取や家宅捜索を行ったのですが、その捜査の中心となったお一人が佐藤誠元警部補だったわけです。
ちょっと前置きがながくなってしまいました。
今週発売の『週刊文春』によると安田種雄氏の死因に疑問を感じていたご遺族は7月17日、捜査の継続を求める上申書を警視庁大塚署に提出しました。
そして同月24日、大塚署に出向いたご遺族に対して警視庁捜査一課担当者は
事件性は認められません。捜査は尽くしています。
と繰り返すのみでした(8月10日号)。
ご遺族の絶望、悔しさは筆舌に尽くしがたいものがあったと思いますが、それに追い打ちをかけるような出来事があったのが、今週号の記事に書かれている内容です。
それによると、8月9日午後、今度は警視庁世田谷署に場所を移してご遺族と警視庁捜査一課特命捜査係W係長との二度目の面談が行われましたが、そこでのW係長の説明は驚くべきものでした。
7月28日に文藝春秋社で元警視庁捜査一課警部補佐藤誠氏の記者会見が行われましたが、佐藤氏が本件について「事件性がある」と判断したポイントはいわゆる「体位変換による理流動血の移動」つまり滴下血痕(フロアに落ちていた血痕)の状況からご遺体は誰かによって動かされたと考えるべきということです。
ところが、それに対するW係長の説明は
遺体を部屋から出して階段を降りるとき、スイッチバックにみたいにしないと出せないと思うんです。搬送の際に廊下に血液が付いたと考えて間違いない
というものでした。
この説明に対し佐藤誠氏は
搬出の際に血液が付くなんて百%ありえない
とし、
約千五百体の遺体を扱ってきたけど、必ずグレーのチャック付きの遺体収納袋に詰めるので血が滴ることは絶対ないだろ。
とコメントされたとのことです。
本ブログ管理者は日ごろTVを殆ど観ません。
その替わりといってはなんですが、Amazon PrimeやHuluで国内外のいわゆる刑事ものドラマ、特にアメリカの『NCIS』や『NCIS:New Orleans』、『Blue Bloods』、『Law & Order: SVU』などを良く観ています。
それらのドラマで必ずあるのが、死体発見現場に駆けつけた捜査員と鑑識・検視官との間で交わされる次のようなやり取りです。
捜査員「死亡推定時刻は?」
鑑識・検視官「昨夜の10時から12時くらいだな」
捜査員「死因はやはり銃撃?」
鑑識・検視官「9mmの銃弾が数発、胸に打ち込まれている。これが死因で間違いないだろうけど、詳しくは解剖してみないと分からないね」
このあと、捜査員は現場で足跡などを調べたり周辺の聞き込みなどに取り掛かったりしますが、死体はbody bag(遺体収納袋)に収められてcoroner's officeに移送されることになります。
つまり、死体を裸のまま係官が首と脚のところをもって運び出すなどということは普通は考えられないようです。
それは佐藤誠氏が指摘しておられる通りで、もし安田種雄氏のご遺体がそのようにして移送されたとすれば、それこそ常軌を逸した方法と言わざるをえないことになります。
佐藤誠氏が地方公務員法に定める守秘義務違反を覚悟で週刊文春の取材に応じ、記者会見に出席したのは
被害者と被害者のご遺族そして捜査の中断を余儀なくされた捜査員たちの無念をはらすこと
と繰り返しておられますが、全くその通りだと思います。
『週刊文春』の記事によると7月26日の夜、警視庁S刑事部長(記事では本名)の執務室にI参事官(同左)、K捜査一課長(同左)の3人が集まって長時間にわたる「三者会談」が開かれました。
これは露木警察庁長官の「火消しをしろ」という指示を受けてのことであり、更に露木長官に対しては警察庁の先輩である栗木官房副長官が「どうにかしてやれよ」と発破をかけたというのです。
この「三者会談」が実際に行われたとして、警察機構のトップが「事件性」を否定している以上、2006年の事案についての再捜査は行われないのでしょう。
これでは、佐藤誠氏が言われるように安田種雄氏のご遺族や捜査関係者の無念は晴らされることがありません。
来月には内閣改造・自民党役員人事が行われる予定とされています。そこで木原官房副長官や栗木官房副長官が留任となるかどうかは要注目です。
週刊文春を除くT V、新聞、週刊誌の主要メデイアは本件について殆ど報じてきていません。
それらがいつまで「報道しない自由」を行使しつづけられるかにも注目する必要がありそうです。