主よ、わたしが助けを求めて叫んでいるのに いつまで、あなたは聞いてくださらないのか。(1章2節)

 

今日の旧約聖書朗読である「ハバクク書」は前週、前々週に読んだ「アモス書」と同様、日頃は余り触れることのない書ですね。

 

実際、旧約聖書の最後尾の方に位置し長さも3章(新共同訳聖書で6頁)に過ぎませんので、そのまま飛ばしてしまいがちです。

 

ですが、1~2章に振られた見出しが「預言者の嘆き」「主の答え」とあるように短いながらも「ヨブ記」を彷彿とさせる展開となっています。

 

ハバククはBCE7世紀の終わりごろにユダ王国(南王国)で活動した預言者でした。

 

そして、ハバクク書は紀元前609~598年の間ごろに書かれたといわれています。

 

当時、イスラエル王国(北王国)は既に滅亡しており、ユダ王国(南王国)はバビロニアとエジプトという古代オリエントの超大国の狭間に置かれていました。

 

そのユダ王国(南王国)8歳から31年間に王位にあったヨシヤ王

 

主の目にかなう正しいことを行い、父祖ダビデの道を歩み、右にも左にもそれなかった(歴代誌下34章2節)

 

と言われる名君で、宗教改革を断行しました。

 

しかし、紀元前609年、メギド平野での戦いでファラオ・ネコ2世率いるエジプト軍に敗れ,戦死してしまいます(同35章20~25節)

 

このメギドが有名なハルマゲドンの語源にですが、それについて今日は割愛いたします。

 

こうしてユダ王国(南王国)も存亡の危機に瀕する状況となったのでした。

 

そのような現実を目の当たりにしたハバククは、冒頭に引用したように

 

わたしが助けを求めているのに、いつまであなたは聞いてくださらないのか(1章2節)

 

と神に訴えます。

 

それに対する「主の答え」

 

分かった、すぐに助けてやろう。

 

というものではありませんでした。

 

それどころか、今日の朗読では割愛している箇所ですが、6~10節には

 

カルデア人の騎兵が襲いかかって来て暴虐を行うであろう

 

という「予言」まで書かれているのです。

 

その「主の答え」に対してハバククは

 

なぜ欺く者に目を留めながら

 黙っておられるのですか(1章13節)

 

と訴えかけます。

 

それに対する「主の答え」は

 

たとえ、遅くなっても待っておれ。

それは必ず来る、遅れることはない(2章3節)

 

というものでした。

 

今日の朗読では読みませんが、3章は「主の答え」を聞いたハバククの「讃美の歌」となっていて

 

わたしの主なる神は、わが力。

わたしの足を雌鹿のようにし

聖なる高台を歩ませられる(19節)

 

という讃美の言葉で締めくくられています。

 

しかし、実際の歴史的な展開はどうだったでしょう。

 

ユダ王国(南王国)はそれからわずか20年後、BCE587年に新バビロニア帝国によって滅ぼされたのです。

 

もし預言者ハバククがこのユダ王国(南王国)の最期を見る前に亡くなったとすれば、それはかれにとっては幸せなことだったかもしれません。

 

参考:

 

雨宮慧『主日の聖書解説<C年>』教友社

   『図解雑学 旧約聖書』ナツメ社