すると、一同は聖霊に満たされ、”霊”が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした。(4節)
今日は教会の暦では「聖霊降臨の主日」(”ペンテコステ”)です。
今日の第一朗読は使徒言行録の中でも大変に有名な箇所で内容自体は良く知られています。
ですので、雨宮慧神父の『主日の聖書解説<C年>』を参に、いくつかのポイントを見ていくに留めておきましょう。
まず、2章の冒頭には
五旬祭の日が来て(1節)
とあります。
この「旬」はひと月の上旬、中旬、下旬の「旬」、つまり10日ですので、「五旬」といえば50日ということになります。
では、「何から50日か」ですが、旧約聖書・レビ記23章15~16節には
あなたたちはこの安息日の翌日、すなわち、初穂を携え奉納物とする日から数え始め、満七週間を経る。七週間を経た翌日まで、五十日を数えたならば、主に新穀の献げ物をささげる。
と書かれています。
また、出エジプト記には
あなたは、小麦の収穫の初穂の時に、七週祭を祝いなさい(34章22節)
とあります。
この日はユダヤ教の伝統では「シャブオット」と呼ばれ、暦の上で大事な祭日となっています。
次に、1節の「来て」、2節の「響き」という言葉です。
それらは原文では各々συμπληρόω、πληρόωの活用形なのですが、実はいずれも元来「満たす」という意味の動詞です。
さらに4節にも「聖霊に満たされ」(原文ではπλήθωの活用形)とあります。
このように「満たす」という言葉が繰り返されているのは、雨宮神父によれば、
この出来事が、復活のイエスが約束した言葉の成就だからです(『主日の聖書解説<C年>』)
ということになります。
次に、2~3節には
激しい風が吹いているような音
炎のような舌
とあります。
以前から本ブログでも度々、取り上げていますように「激しい風」や「音」、「炎」などは神の臨在を示す言葉であり、ここでは「聖霊の到来」を現しています。
さらに、この「激しい風が吹いているような音」が「突然...天から聞こえ」たということは
神からの力が弟子たちを一方的に包み込むことを強調している(『主日の聖書解説<C年>』)
ことを意味しています。
この「神からの力」つまり「聖霊の働き」によって集まっていた一同が
ほかの国々の言葉で話しだした(4節)
のでした。
旧約聖書に特に親しんでいなくても、この一節からすぐに「バベルの塔」が思い出されますね。
創世記に
こういうわけで、この町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を混乱(バラル)させ、また、主がそこから彼らを全地に散らされたからである。(11章9節)
と書かれているのは良く知られています。
「聖霊降臨」によって起こった出来事は正に真逆、つまり
弟子たちは他の国々の言葉を語る舌を与えられ、「バベルの塔」によって混乱させられた言葉の再統合であり、新たな共同体の成立を指している(『主日の聖書解説<C年>』)
ということになるのです。
こうして、
聖霊による新たな共同体は「天下のあらゆる国」に適用しうる性格を得て、世界大の広がりをもつものとなる(同上)
わけです。
参考:
雨宮慧『主日の聖書解説<C年>』教友社
大貫隆他編『岩波 キリスト教辞典』岩波書店