あなたはあなたの神、主の前で次のように告白しなさい(5節)
今日の旧約聖書朗読箇所は申命記からです。
これまでも度々、触れて来ましたように申命記は「約束の地」に入る直前にモーセがイスラエルの民に対して行った「告別説教」とでもいうべきものです。
そのことを雨宮神父は更に詳しく
申命記は荒れ野の旅を終え、ヨルダン川東岸に到着したとき、過去の歩みを顧み、対岸にのぞむ約束の地を示しながら、その地に入ったときに守るべき生き方を教えたモーセの遺言という形をとっている(『主日の聖書解説<C年>』)
と解説しておられます。
今日の単元ではモーセが冒頭に引用したように
主の前で告白しなさい
と言っていますので、「守るべき生き方」について教えている、ということが一層はっきり分かります。
単元の締めくくりに
主が与えられた地の実りの初物を、今、ここに持って参りました(10節)
とあることから、告白すべきは収穫を与えてくれた神への感謝と思ってしまいがちです。
しかし、モーセは別に「五穀豊穣の神に感謝せよ」と言っているわけではありません。
もちろん、収穫への感謝はなすべきことですが、それが主眼ではない、ということです。
ポイントは5節の後半から10節にかけて、モーセがいわゆる「出エジプト」の出来事を語っている点にあります。
つまり、モーセはここで
歴史における神の導きを恵みとして告白せよ(『主日の聖書解説<C年>』)
と勧告しているのです。
旧約聖書、更にはその関連として新約聖書を読むとき、この「出エジプト」そして「バビロン捕囚」の2つの出来事がユダヤ民族を形成する上で如何に決定的な意味を持っていたかが次第に分かって来るように思われます。
そして、この2つの出来事を抜きにして現在のイスラエル共和国の成立の真の意味を理解することも出来ないのではないでしょうか。
参考:
雨宮慧『主日の聖書解説<C年>』教友社
『図解雑学 旧約聖書』ナツメ社