多くの者が地の塵の中の眠りから目覚める。
ある者は永遠の生命に入り
ある者は永久に続く恥と憎悪の的になる(2節)
今日の旧約聖書朗読箇所であるダニエル書はいわゆる「黙示文学」と呼ばれています。
実は近々、本ブログにおいて新約聖書のヨハネの黙示録とこのダニエル書を読んでいくことにしようと考えておりますので、詳しい解説はその時に譲ることにいたします。
簡単に纏めると、このダニエル書は大きく2つに分けられます(『岩波キリスト教辞典』)
前半(1~6章):
ダニエルを初めとするユダヤ人の青年が様々な迫害や困難を乗り越えて信仰を守り通し、外国の宮廷で成功を収める
後半(7~12章)
ダニエルの観た幻を通してバビロニアからの大帝国の歴史を象徴的に描き、ユダヤ人に対する激しい迫害と究極的な救いの示唆。
以上のように前半と後半で話の性格が大きく異なっていることから、旧約聖書学では各々が別の起原によると考えられています(『岩波キリスト教辞典』)
今日の朗読箇所が含まれている「後半」部分ですが、紀元前164年頃にユダヤ教の中でも敬虔主義と目される「ハシディーム派」によって書かれました。
ダニエル書の冒頭には
ユダの王ヨヤキムが即位して三年目のこと
と年代が明記されています。
これはBC606年頃にあたりますので、ダニエル書の成立年代と書かれている内容の年代には450年ほどのギャップがあることになるわけです。
このあたりの事情も詳しくは別稿に譲ることにいたしますが、今日の朗読箇所で注目すべきは冒頭に引用した2節でしょう。
そこには、
多くの者が地の塵の中の眠りが目覚める
とありますが、これは雨宮慧神父によれば
旧約聖書で死者の復活を明白語る最初(『主日の聖書解説<B年>』)
とされています。
だいぶ昔のことになりますが、ある牧師が礼拝説教で旧約聖書の有名な物語「イサクの奉献」(創世記22章1~19節)について
アブラハムは神がイサクを復活させることを信じていて喜んで彼を捧げようとした
と解説したのでビックリしたことがあります。
この牧師は恐らく、新約聖書の「ヘブライ人への手紙」にある
アブラハムは、神が人を死者の中から生き返らせることもおできになると信じたのです(11章19節)
という言葉に基づいていたのだと思います。
しかし、旧約聖書学の定説によれば創世記には明確な復活思想は無かったのであり、「アブラハムが復活を信じた」という言葉には根拠がないことになります。
ダニエル書後半が書かれた時代, イスラエル地方はエジプトのプトレマイオス王朝の支配下からシリアのセレコウス王朝に移り、更に西からローマ帝国の勢力が拡大してきていました。
東西の大帝国による蹂躙を受け続ける時代背景において、信仰を守り抜いて死んでいった者たちの復活と永遠の命への渇望がユダヤ人たちの間で広がって行ったのです。
参考
雨宮慧『主日の聖書解説<B年>』教友社
佐竹明『聖書講義 黙示録の世界』新地書房
大貫隆他編『岩波 キリスト教辞典』岩波書店