どうやら新五郎は、深川の牙儈女の巣へ押し込んだ五人の中に、平蔵が入っていたとは知らぬらしい。
なればこそ尚更に、平蔵は、あの一件にふれなかったのだ。
うれしかったのは、老人となった原口新五郎が、いまの境遇に安住しきっていることであった。
「あれも一生、これも一生」
なのである。
(池波正太郎「鬼平犯科帳 十九 『おかね新五郎』」文藝春秋)
どうやら新五郎は、深川の牙儈女の巣へ押し込んだ五人の中に、平蔵が入っていたとは知らぬらしい。
なればこそ尚更に、平蔵は、あの一件にふれなかったのだ。
うれしかったのは、老人となった原口新五郎が、いまの境遇に安住しきっていることであった。
「あれも一生、これも一生」
なのである。
(池波正太郎「鬼平犯科帳 十九 『おかね新五郎』」文藝春秋)