国際課税についてのブログ、始めました。
備忘録として書き込んでみたいと思っています。
国際課税というと、必ず関係してくるのが「租税条約」です。我が国が締結している租税に関する条約には、所得に対する租税に関する条約、相続税等に関する条約、情報交換協定、及び税務行政執行共助条約があります。
1. 租税条約
「所得に対する租税に関する条約」の正式名称は、おおむね「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とXXXとの間の条約」となっています。単に「租税条約」という場合、通常、この条約を指しています。我が国の租税条約は、「OECDモデル租税条約」に沿った規定を採用しています。租税条約は、一方又は双方の締約国の「居住者」に適用され、所得に対する租税、つまり、所得税及び法人税(相手国に地方税がある場合には住民税も含む。)を対象としています。
租税条約は、条約名が示す通り、二重課税を回避するため、所得の種類毎に、源泉地国/所在地国と居住地国の課税権を定めています。多くの所得項目では、一方の締約国に排他的課税権を認めることで、二重課税を排除しています。通常、この排他的課税権は居住地国に与えられています。その他の所得項目では、源泉地国/所在地国にも課税権を認めた上で、居住地国が外国税額控除を行うことで二重課税を排除しています。さらに、税務当局の更正等により生じた二重課税や条約に規定のない二重課税については、両締約国の税務当局が相互協議により解消に努めることとされています。
また、租税条約は、租税回避及び脱税を防止することも目的としています。租税条約のネットワークの拡大は国内税法上の優遇措置や租税条約の特典を組み合わせたスキームの利用を容易にし、条約の濫用のリスクが増すため、それに対処するための規定が設けられています。現行の租税条約で租税回避に焦点を当てた規定としては、所定の要件を充たす適格者にのみ条約の特典を認める特典制限規定(LOB条項)、条約の特典を受ける者を規定する「受益者」の概念(配当、利子及び使用料)や、いわゆる一人芸能法人に報酬が支払われることで芸能人等が源泉地国における課税を回避することを防止するための規定等があります。政府間の協力を規定した情報交換及び徴収共助でも、脱税等の防止に言及しています。以前に締結された条約では、脱税を防止するために必要な情報を交換すること、不当に条約の特典を享受した場合の租税債権を徴収することを規定しています。最近締結された租税条約では、これらに限らず、全ての租税又は全ての国税についての情報を交換し、滞納租税債権一般を徴収共助の対象とするよう政府間協力の範囲を拡大しています。
現在、我が国は、52の租税条約を締結しており64の国又は地域に適用されています(アラブ首長国連邦との租税条約は未発効)。条約の適用される国又は地域の数と条約の数が一致しないのは、英国との条約がフィジーに適用拡張されることと、旧ソ連邦との条約がロシア連邦、キルギスタン共和国、グルジア共和国、タジキスタン共和国、ウズベキスタン共和国、トルクメニスタン共和国、ウクライナ、アルメニア共和国、ベラルーシ共和国、モルドヴァ共和国及びアゼルバイジャン共和国の11箇国との間で引続き適用され、旧チェコスロヴァキアの条約がチェコ共和国及びスロヴァキア共和国との間で引続き適用されるためです。
2. 相続税条約
「相続税等に関する条約」は、1954年にアメリカとの間で締結されています。正式名称は、「遺産、相続及び贈与に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約」ですが、ここでは簡単に相続税条約と表します。相続税条約は、アメリカの連邦遺産税及び連邦贈与税、日本の相続税(贈与税を含む。)を対象としています。
相続税条約は、二重課税の排除のため、自国内にある財産の租税の計算において認められる控除の配分、他方の締約国にある財産又は両締約国外にある財産について日米で課税する場合の税額控除について規定しています。また、税務当局の更正等により二重課税の結果が生じた場合には、租税条約と同じく、両締約国の税務当局が相互協議を行いその解消に努めることが規定されています。相続税条約では、相互協議の申立てを行うことができるのは、「遺産の代表者」又は「受益者」になります。
また、脱税の防止のために、脱税の防止に必要な情報を交換し、受ける権利のない者が控除等を享受した場合の租税債権を徴収する、政府間協力が規定されています。
(続く)