4. 税務行政執行共助条約(続き)

(1) 情報交換

税務行政執行共助条約では,租税回避及び脱税に対抗するため、情報交換の対象となる情報を、対象税目の運用又は執行に関連する「あらゆる情報」と広範囲に規定しています。税務行政執行共助条約で可能な情報交換の形態は、要請に基づく情報交換、自動的情報交換、自発的情報交換、同時調査、海外での税務調査で、租税条約で可能な形態にほぼ一致しています。要請を拒否することができる場合及び受領した情報に対する守秘義務について、OECDモデル租税条約の情報交換規定と同様の規定を置いています。

自動的情報交換に関して、20141029日に、51の国及び地域がMultilateral competent authority agreement on automatic exchange of financial account informationに署名しました。実施細則を規定したStandard for Automatic Exchange of Financial Account Informationに従って、毎年すべての金融情報を自動的に交換することになります。最初の情報交換は20179月までに実施されることになっていますが、我が国はまだ署名していません。

(2) 徴収共助

徴収共助の形態には、租税債権の徴収と財産の保全があります。租税債権が執行許可文書の対象となり、争われていない場合には、租税債権の徴収の対象となります。この条件を満たさない場合であっても、保全措置の対象となります。被要請国の租税債権に課される期間制限、租税債権に与えられる優先権は、徴収共助が行われる租税債権には適用されません。また、一定の場合、要請を拒否することができます。これらの規定は、OECDモデル租税条約の徴収共助の内容とほぼ一致しています。

(3) 送達共助

要請国の更正通知書や督促状等の文書を名宛人に送達する送達共助は、これら文書が納税者に確実に届くよう、納税者保護の観点から設けられたものです。送達は、被要請国が、送達を要請された文書と実質的に同様の性質の文書を送達する際に適用される法令に規定する方法により行われます。


(4) 他の国際協定との関係

情報交換については、租税条約又は情報交換協定にも規定があり、徴収共助については、租税条約にも規定があります。「税務行政執行共助条約」、「OECDモデル租税条約」、「OECDモデル情報交換協定」は、それぞれの規定を一致させる方向で改正されてきていますが、現行の租税条約にはかなり昔に締結されたものもあります。税務行政執行共助条約では、他の租税条約等に支援の規定がある場合、特定の事案毎に最も効率的な規定を定める条約等を使用できることとしています。


(続く)