(3) 対象租税協定の目的(第6条)
租税条約の前文には、租税条約の目的とするところが表明されています。MLI第6条では、脱税又は租税回避を通じた非課税又は租税の軽減(第三国の居住者の間接的な利益のためにこの条約において与えられる租税の軽減を得ることを目的とする条約漁りの仕組みを通じたものを含む。)の機会を生じさせることなく二重課税を除去すること(第1項)、及び経済関係の発展を図り、又は租税に関する協力を希望すること(第3項)を前文に追加することを規定しています。
署名時には、ドイツとの租税条約を除き、対象租税協定の前文を第1項の前文に置き換え、第3項を加えることを通告しています。受諾書の寄託時の通告で、アラブ首長国連邦、ウクライナ(旧ソ連邦)、エジプト及びカザフスタンとの租税条約にもこれらの前文を適用することとしています。
(4) 条約の濫用の防止(第7条)
MLI第7条第1項の主目的テストの規定は、同様の規定を有する対象租税協定の規定に置き換わり、同様の規定のない対象租税協定に追加されます。この主目的テストは、OECDモデル租税条約第29条第9項と同じ規定です。第1項の規定は、同様の規定を有する対象租税協定の規定に置き換わり、同様の規定のない対象租税協定に追加されます。
受諾書の寄託時の通告で、同様の規定を有する対象租税協定の規定として、アラブ首長国連邦との租税条約の議定書第11条を追加しています。