2017131日、オーストリアとの間の新租税条約が署名されました。旧租税条約は、1963OECD条約草案が公表される前の1961年に署名された古いもので、新租税条約では現行のOECDモデル租税条約を取り入れ、全面改正されています。また、BEPSプロジェクト最終報告書のOECDモデル租税条約改正案も採用しています。

主な改正点及び特徴として以下の点が挙げられます。

 

1. 表題及び前文

「脱税及び租税回避の防止」が租税条約の目的の一つであることを、租税条約の表題及び前文で明らかにしています。これは、BEPS最終報告書の改正案を反映し変更されたものです。

 

2. 第1条(対象となる者)

BEPS最終報告書の改正案を反映し、「課税上存在しない」団体又は仕組みが取得する所得については、団体等の居住地国において居住者の所得と取り扱われる場合には、居住者の所得とみなすことが明記されています(第1条第2項)

 

3. 4条(居住者)

旧租税条約では、二重居住者の居住地国の決定方法についての規定は置いていませんでした。新租税条約では、個人の二重居住者については、現行のOECDモデル租税条約の規定を採用し、法人の二重居住者については、BEPS最終報告書の改正案を反映し、両締約国の権限のある当局による合意によることとされています。

 

4 第5条(恒久的施設)

5条の規定は、現行のOECDモデル租税条約の規定を採用し、併せて、BEPS最終報告書の改正案を反映したものとなっています。ただし、第4項の規定(恒久的施設とならない準備的・補助的活動)についてのBEPS最終報告書の改正案は、採用されていません。

 

5 第7条(事業利得) 

新租税条約では、OECDモデル租税条約の旧第7条の規定(2010年改正前の規定)を採用していますが、交換公文で合意する日に現行の新7条の規定に改正することとされています(議定書第2条)。

自由職業所得については、旧租税条約では第13条に別途規定を置いていましたが、今回の改正で削除され、自由職業所得は第7条で取り扱われています。

(つづく)