2018年9月26日に、我が国はBEPS防止措置実施条約(MLI)の受諾書をOECDの事務総長に寄託しました。これにより、我が国については2019年1月1日にMLIが発効します。2019年1月1日にMLIが適用される租税条約は、イスラエル 、英国、オーストラリア、スウェーデン、スロバキア、ニュージーランド、フランス及びポーランド との租税条約になります。

  受諾書を寄託した際に留保及び通告の一覧をOECD事務総長に提出していますが、その内容は、以下の点で、署名時(2017年6月7日)の留保及び通告と異なっています。

 

(1) 対象租税協定(第2条)

 

  署名時の通告では、35の租税条約をMLIの適用対象となる租税条約(対象租税協定)としていました。

 

  受諾書の寄託時の通告では、アラブ首長国連邦、ウクライナ(旧ソ連邦)、エジプト及びカザフスタンとの租税条約が追加され、以下の39の租税条約が対象租税協定となっています。

 

アイルランド、アラブ首長国連邦、イスラエル、イタリア、インド、インドネシア、ウクライナ(旧ソ連邦)、英国、エジプト、オーストラリア、オランダ、カザフスタン、カナダ、韓国、クウェート、サウジアラビア、シンガポール、スウェーデン、スロヴァキア、チェコ、中国、ドイツ、トルコ、ニュージーランド、ノールウェー、パキスタン、ハンガリー、フィジー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ポーランド、ポルトガル、香港、マレーシア、南アフリカ、メキシコ、ルクセンブルク及びルーマニア

 

 (2)  個人以外の二重居住者の居住地の決定(第4条)

 

  第1項の個人以外の二重居住者の居住地国を権限のある当局が決定する規定は、署名時の通告では、フィジーを除く対象租税協定の個人以外の二重居住者を取り扱う規定に代えて適用することとしていましたが、  受諾書の寄託時の通告で、アラブ首長国連邦、カザフスタン及び旧ソ連邦(ウクライナ)との租税条約が追加されました。第1項は、個人以外の二重居住者を取り扱う規定のないフィジー及びエジプトとの租税条約にも適用されます。