(6) 配当を移転する取引(第8条)

 

 第1項は、配当の減免の要件である配当を支払う法人の資本の所有に関する条件を、配当の支払の日を含む365日の期間を通じて満たす場合に限り、配当の減免を認めることを規定しています。これは、OECDモデル租税条約第10条第2項の改正案と同じ規定です。

 

我が国は、第8条の規定の全部を適用しない権利を留保しています。

 

(7) 不動産化体株式の譲渡収益(第9条)

 

9条は、不動産化体株式の譲渡収益の規定について、第1項と第4項を選択適用できるとしています。我が国は、第4項の適用を選択し、通告しています。第4項は、現行のOECDモデル租税条約第13条第4項の規定に、譲渡に先立つ365日のいずれかの時点で株式等の価値の50パーセント超(第1項では一定割合としている。)が不動産であった場合には不動産化体株式として取り扱うテスト期間を追加し、株式だけでなく組合又は信託財産の持分(同等の持分)も本項の対象とするよう範囲を拡大しています。すべての当事国が第4項を選択する旨の通告を行った場合、第4項の規定が第1項の規定に優先適用されます。

 

我が国は、不動産化体株式の譲渡収益の規定を有する対象租税協定として、オーストラリア、フランス、ドイツ、香港、韓国、クウェート、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、パキスタン、ポルトガル、サウジアラビア、シンガポール、及び英国 を通告しています。

(つづく)