ブログタイトルが『音楽ときどきサッカー』のくせに音楽の話題がないじゃないかというクレームが来たので(本当に来たのか?笑)、今日は音楽ネタを。
先週末あたりから一気に寒くなりました。こんなときは熱い音楽や心暖まる音楽を聴きたい。
で、最初に思い浮かんだのがダリウス・ミヨーの『ルネ王の暖炉』。うむ、これはタイトルからして暖かそうだ。
ミヨーは主に20世紀半ばに活躍したフランスの作曲家。『ルネ王の暖炉』は『愛の騎馬行列』という映画のための音楽を木管五重奏のための組曲に編み直したもの。タイトルの暖炉は、暖炉と言っても、ハリー・ポッターで意地悪叔父さんがハリー宛ての手紙を燃やそうと投げ入れるあの暖炉のことではない。
フランス南東部のエクス=アン=プロヴァンスに冬でも陽のよく当たる温暖な場所があり、冬になるとルネ王が足繁く通ったことから、そこは『ルネ王の暖炉』と呼ばれるようになった。
つまり、『ルネ王の暖炉』とは、ルネ王お気に入りのエクス=アン=プロヴァンスの避寒地という意味。なんだけど、曲の内容はルネ王時代の生活や出来事を回顧したもので、必ずしもその場所がテーマというわけではないようだ。
組曲は7つの小品からなる。
Ⅰ.行列
Ⅱ.朝の歌
Ⅲ.軽業師
Ⅳ.ラ・マウザングラード
Ⅴ.アルク河での試合
Ⅵ.ヴァラーブルでの狩り
Ⅶ.マドリガル-ノクターン
全体的に穏やかな曲調で、Ⅲ、Ⅴ、Ⅵあたりの比較的動きの激しい曲でもノーブルさを失わない。太陽や炎がテーマではないし情熱が迸るような音楽というわけでもないので直接的な熱さはないが、じんわりほんのり伝わってくる暖かさがある。
これは木管五重奏という編成によるところも大きいだろう。柔らかで暖かみのある木の響き。そして、人間の息の暖かさ(私も冬の寒い日には手に息を吹きかけて温めたりする)。
そして、ルネ王のことなどほとんど知らない私のような日本人でも、ほのかに感じる懐かしさ。さながら、優しいおじいさんがソフトなトーンで語る思い出話を、暖炉にあたりながら聞いている雰囲気。
曲の内容からすれば『ルネ王の時代』や『ルネ王の思い出』(グリーグ風なら『ルネ王の時代より』、ラヴェル風なら『ルネ王の墓』?)といったタイトルが妥当だろうが、実際に曲を聴いてみれば『ルネ王の暖炉』こそふさわしいと思える、そんな温もりに満ちた佳曲である。