　先月、急に３週間も暇ができてしまい、せっかくなので、前から一度行ってみたかった北京にちらりと行くことにした。ANAのフライトをとり、Expediaでホテルを予約し、GoogleやLINEを使えるWIFIを予約した。オットが仕事を休まねばならないので、たった３泊４日の旅である。北京には、オットが中国との仕事をしていた時に通訳を何度かやってくれたウーさんが住んでいるので、１日車を出してもらって現代建築巡りをすることにした。(ちなみにウーさんは、お父さんから200万円の仕送りをしてもらって、広島の大学を出た人である。優雅に一軒家に住んでいたが、広島駅のヨッちゃんで６年間お好み焼きを焼くバイトをしていたそうだ。)

　早朝に家を出て、昼頃、北京首都空港に着いた。時差が１時間あるから４時間くらいのフライトである。ノーマン・フォスターの計画による広大な空港はすばらしい。多くの観光客が行列しているが日本人は少なめだ。両手の指紋認証をさせられる。オットはもうしてあるので済みと出た。ウーさんが迎えにきてくれていた。北京は空気が霞んでいた。近郊にたくさん工場があるからそのために空気が汚れているのだ。

　渋滞があったが、１時間くらいで市心のホテルに着いた。樹木が多い。槐(えんじゅ)というマメ科の樹木、バラの植え込み、さまざまである。

　この日は、自分たちだけで、地下鉄に乗り、オリンピック公園に行ってみた。あのエルツォーク&ド・ムーロンの国立競技場「鳥の巣」を見たかったのだ。オットは既に見ていた。中にも入ってみた。公園はだだっ広く、旗をもつガイドに率いられたグループの観光客がたくさん歩いていた。その後、ホテルのある金魚胡同の地下鉄駅に戻り、王府井(ワンフーチン)を散歩し、有名な北京ダックまお店「全聚徳」を探して行ってみたら何フロアもあるのに山のような待ち客!! あきらめて前方のお店で夕食をとった。肉餅が看板メニューのようだった。どれも美味しく、安かった。

　北京の地下鉄は、構内への入り口にX線検査を受けねばならない。それからチケットを買い、改札を通り、ホームに降りるのだ。まあ、安心ですね。東京も導入すべきでしょうね。AIで検査できるならば人件費もかからないし。

　２日目は8:15からウーさんの車で現代建築巡り。北京にはSOHOのカッコいいビルが多い。地下に駐車していろいろ見て歩く。朝は寒いので、出勤の人たちがこたつ布団のようなコートをバイクに着せて走っているのが面白かった(写真下)。駐車している時もつけっぱなし。北京では盗難がほとんどないのだ。昼はかなり暖かくなる。

　国営放送局CCTVの本社(レム・コールハス率いるOMAの建築)、コーン・ペーターゼンによるとっくりのような高層ビル、チャイナ・ズン(中国尊)などを見てからコーヒーチェーン店ラッキン・カフェで一服。エスプレッソはない。デリバリーがひっきりなし。そして移動、MADがセントラル・パークにつくったトップがジグザクの山みたいな黒いビル(写真下)、近くには馬岩松(マ・ヤンソン)の建築によるアルマーニアパートがある。少し移動したところにあるフェニックスセンターのビル(テレビ局の本社)は波打つドーナッツみたいな建築で、意匠にびっくり!!

　その近くにある湖畔のレストラン街でランチ。なんでも美味しい。

　その後、市の南西部にある望京SOHOへ。山が３つあるザハ・ハディドによる斬新な建物だ。大きすぎる。さらに市の南西部に移動し、これもやはりザハ・ハディドの高層ビルで膨らんだ円筒形: リーザSOHO。地下に駐車し、内部を見てみる。近未来的。SOHO Chinaというデベロッパーはザハの建築がお気に入りなのだ。北京にはSOHOのビルがたくさんある。東京はSOHOってあまり言わないですね。

　日が落ちて薄暗くなったところで、やはりザハが昔につくったギャラクシーSOHOヘ。ライトアップされるとまるで宇宙船のような世界である。いやはや、ウーさんのおかげでザハの建築三昧を楽しむことができた。建築家のオット、カメラを持って興奮して駆けずり回っていた。

　ホテルに送り届けてもらって夜の19:30頃。かなり疲れたので、夜はホテル内のレストランで済ませた。けっこう美味しかった。

　３日目は、ウーさんに予約しておいてもらった紫禁城へ。朝迎えにきてくれて、タクシーに乗り、近くで降りて、入り口まで散歩をつきあってくれた。広いと覚悟していたが、確かに広大だ。でもヴァティカン博物館のように、一つ一つの美術品や収蔵品を見てあるくわけではないので、３時間くらいでおおまかに見ることができた。北側から出て、その後ろにそびえる景山には登らず、歩いて金魚胡同に戻り、ランチ。

　午後は、天壇公園に行った。ここもだだっ広くて、途中でオットはベンチで待っていると言い出したので、私だけで見に行ってきた。北京には中国風(唐風、明風、清風いろいろ)な衣装のレンタル店が多く、西太后みたいなかぶりものをして着飾って、でも足元はスニーカー、普通のバッグを持って、みたいなコスプレ観光客が多い。ラスト・エンペラーの溥儀みたいなチビたちもいた。浅草で着物を着ている人が多いのといい勝負である。たいてい群れている。　帰りに前門街に寄って、MUJIのホテルとかのある西側のリノベ地区を歩いてみた。お汁粉専門カフェみたいなところでひと休み。たいていの店舗では支払いがpaypayみたいな電子マネーが普及しているが、空港で変えた元が余りそうだったので、ひたすら現金を使った。前門街の西側には瑠璃廠という骨董街があり、父親は筆とか墨とか書道用品を買ったことがあったようだが、歩き疲れたので次回に、とあきらめた。とにかく北京は広すぎる。

　前門の北側は天安門広場だが、検問もめんどくさいし、今回はパスした。夕食は今度こそと、王府井の全聚徳に行ってみたが、先日の倍以上のウェイティングだったので、あきらめてまた同じ店で食べた。近くの羊肉と点心のお店も美味しそうだったが、狭っぽかったので、次回にと言いつつ、あきらめた。

　４日目は、日曜日で工場が休業しているからか、抜けるような青空である。９時前にホテルを出て、ちらりとというつもりで、蘆溝橋へ行くことにした。金の時代に建てられた石の橋で、元の時代に訪れたマルコ・ポーロが『東方見聞録』の中で讃えたモニュメントだ。ガイドブックには市心から20分とあったが、最寄りの駅までに１時間くらいかかった。降りてから徒歩15分とあったが、ケータイを見ながら「抗日戦争記念公園」なるものを突っ切ってもぜんぜん辿りつかない。あきらめて蜻蛉返りした。12時のチェックアウトまでに間に合わず、5分過ぎてしまったが、釣果料金は請求されなかった。渋滞にあうとフライトに間に合わない可能性があるので、地下鉄と空港鉄道を使って首都空港へ。これはなかなか快適であった。空港も長蛇の列はあまりなくて、スムーズに通過でき、搭乗までに小一時間あったので、ラウンジで担々麺とか点心とかワインとか美味しいものでランチできた。

　羽田には夜の７時すぎに着き、９時頃に帰宅できた。短い旅行だと荷物も少ないし、身軽でよい。旅行中、Gmailにガイド仲間からSOSが入っていた。声帯炎で声がまったく出なくなったという。それで翌日から稼働することになった。そのツアーが終わった日の夜、10時半頃、お母様が亡くなったというガイド仲間が翌日の代打を探していたが、急なことで見つからず、私が出動することになった。その後も11月1日にも代打。声帯炎のガイドは治らず、次の仕事も結局、私が代打。帰国してから旅行代が稼げてしまったけれど、11月14日まで働き詰めになる。自分も健康に気をつけねば。

　北京オリンピック公園の国立競技場「鳥の巣」

清朝時代のコスプレガールたち

車の入れない王府井の夜

朝晩寒い北京では、スクーター用の布団が必須

国営放送局CCTVの本社: レム・コールハスの作品

MADのセントラル・パーク

フェニックス・センターは驚異の建築!!

ザハ・ハディドの望京SOHO

リーザSOHO ;やはりザハ・ハディドの建築

ザハのギャラクシーSOHOは夜景がみごと

紫禁城を訪れたら、もう一度あの映画を見たくなった

天壇にもコスプレガールがたくさん

蘆溝橋に辿り着けなかった・・・またね

　ノーマン・フォスターの北京首都空港も立派

　次は、ザハのつくった空港を見てみたいし、万里の長城、什刹海、三里屯、頤和園、瑠璃廠、南鑼鼓巷、そして蘆溝橋などを訪れてみたい。それまでにPm2.5のスモッグをなんとかしてほしい。長期滞在する気はないけれど霞みすぎている。

北京への小旅行; 現代建築をたくさん見てきた