ダカーポの日記っぽく。 | ◆今夜も枕投げ◆

ダカーポの日記っぽく。

 どうも僕は人気のない場所が好きらしい。

 今朝、なぜか東京駅にいたりする理由ができたので、そこから秋葉原まで、中央線区間をちょっと歩いてみみようと思い立った。

 日曜朝の東京駅には、沢山のスーツ姿のサラリーマンの代わりに、ボストンバックや旅行カバンをかかえた幾許かの老若男女が、それぞれ自分が行くべき乗り継ぎ先へと、急ぎ足、はたまたゆっくりとした足取りで歩いていく。そんなほんの少しの人々だけでは余りに過剰なスペースを持つ、この巨大な都市の中核は

その人々との比率故に、不気味な程に静かである。

 その駅から左右に、都市機能の生命線ともいえる鉄の橋が、オフィス街を貫いて、地の果てへとうねり続く。その姿は朝になっても眠り続ける巨大なビルヂングとあいまって、その巨大な無機質感に圧倒される。

 冬の朝は寒い。さらにビル同士が起こすビル風によって、その勢いは時に、空気を吸い込む事が困難な時があるほどである。休日のオフィス街とはなぜこうも無機質なのだろうか。聞こえるのはビル風と車の音。近くを走りぬける電車の規則的な鉄の響き。朝の日差しはまだ薄暗く夕暮れを思わせるほどで、目の前を吹き抜ける銀杏の枯葉の大波は、未だ人の行方を遮らない。

 ビルの合間を抜けまたしばらく歩くと、小さい建物の密集した飲み屋街が現れる。ここでようやく人の姿を少しずつ目にする。営業後の後片付けであろう、すし屋らしき服装をした姿をした男性が、ゴミ箱を持ち、歩いていた。お疲れ様です。気付けばそこは神田だった。

 日曜日の神田はこの朝の時間帯であっても、殆どといって人の姿がない。平日はそれはそれは賑わうであろう飲み屋街も、日曜日ともなると殆どの店が営業せず、店の集合体のようなこの街は、一気に静かな空気に包まれる。

 倒れた立て看板、落ちて転がる提灯。人の空気を全く感じない真っ暗な店内、まるでゴーストタウンのようである。オフィス街もこの街も、人がいなければこのように都市の隙間となるのだ。

 そのまま神田駅を通り過ぎ、線路沿いに歩いて行くと、神田ふれあい橋なる、青い欄干の小さい橋を見つけた。隅田川をまたぐこの橋は、すぐ間近の中空に鉄橋が建っており、橋の上からの景色はほぼ半分ふさがれている。それでも未だこの橋が建ち続けるのは、昔からの名残を亡くさずにいたいという、人々の思いなのか。

 橋を抜けると、すぐそこは秋葉原である。気付けば見慣れた町並みが広がっている。時間の経過もあるのだろうか、人の数も増えてきた。思えばこんな朝早い秋葉原など余り来た事がない。開店準備をするラジヲ会館の人々、まだシャッターの閉まったままのゲーセン、家電量販店。休日こそ賑わう秋葉原も、まだまだ目覚めていないようだ。ふと、じゃんがらラーメンが食べたくなったので、開店しているか解らなかったが、期待せず行く、交差点の信号待ちの間、吹き付ける風が顔に冷たい。信号を渡りソフマップの角を左に曲がり少し行くとそれはある。なんと開店していた。入って九州じゃんがらを頼む。旨い。

 食べてる途中「いつかのメリークリスマス」が流れて来て、突然目に涙が。おかしい、いままでそんな事はなかったのに。謎だ。

 店員のあいさつに見送られて店を出ると、人の数が増えてきた。店もあちこち開店し、客の呼び込みをはじめている。

 息を吐くと白かった。冬まっただなかだ。