じゃじゃ丸!ピッコロ!! | ◆今夜も枕投げ◆

じゃじゃ丸!ピッコロ!!

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 一昨日から、僕の前に「ある現象」が、なぜか頻繁に起こる。その現象事態は、元々僕自身が起こす事がとてもとても多いのだけど、ここ最近は少しなりをひそめていた。

 僕は通学時、行き帰り含めいつも学校の最寄り駅前の商店街を通る。今日朝いつも通りにいつもの商店街を、いつものように寝不足のぼーっと歩いていると。目の前をわりと良い服を着た気品の良さがにじみ出ているお爺さんが、ちょっとふらふらと僕の進行方向から歩いてきた。この辺りは高級住宅街のため、そういったお爺さんも珍しくなく、大して気にもとめず、寝ぼけた頭で今日の授業だるいやらなんやら考えて、すれ違おうとした瞬間。

 おじいさんがありとあらゆるカードをぶち巻いた。人の数だけ十人十色というが、カードに至っては人の数以上に多種多様、紙やら鉄やらプラスチック、その束がおもいっきりお爺さんのお財布からバラバラと飛び出した。それが僕の目に、とてもスローモーションに映りこむ、朝日を浴びてキリモミ回転しながら輝くヨドバシゴールドポイントカードは、『そういえば1575ポイントあったっけ、「ワンダと巨像」かいてーな、でもあれ6000円台か、今月auに変わって事務手数料かかって支払額約二倍だったな、金ねーよ』といった事を瞬時に思考させるには十分だった。あれだけ見事な長方形の数々が描く冬花火は、僕は隅田川でも見た事ない、しかも中心にはお爺さん、気品のよさげなお爺さん。そりゃ頭も目が覚める

 即座にかがみこみ、大慌てでカードを拾い出す、僕も手伝って拾い出す。ふとお爺さんが出てきた先を見ると、そこには写真の現像屋、そして手に持っていたのは写真の入っているらしい紙袋。ああ、そうか、お爺さんはきっと運動会で孫を撮った写真が現像できたと聞いて、店に取りに行った帰りに違いない。

 『出来上がった写真の束を受け取り、中身を確認。『こちらでよろしいでしょうか?』という店員に微笑みながらうなずくお爺さん。支払いを終え、さぁ家に帰って、首を長くして待ちわびているお婆さんに、このかわいい孫の写真を一刻も早く見せてやろう。と帰ろうとしたその時、店員からの魔の言葉が、お爺さんの命運を分ける事となった魔の言葉が。

 『ポイントカードをお持ちですか?』

 ああ、そうだお婆さんから頼まれたのだった。この写真屋では現像何枚分につき、ポイントがつくのだ。ついつい忘れていた。店員さんに一言待ってもらうように言い、財布を覗く。見当たらない、これはなぜだろう。

断ろうかと思ったが、店員さんを待たせてる手前、待たせるわけにもそうそう行くまい。財布の中を探す事にする。しかし探し始めたは良いものの、財布の中にカードが多すぎて、どこに仕舞ったのか皆目検討がつかない、出発前にお婆さんから受け取ったはずなのだけれど。そういえば昔から、店員さんからカード作成を勧められると、ついつい作ってしまう事がよくあった。殆ど行かないような所でも、勧められるとついつい作ってしまうため。(海外出張の際に、お婆さんのお土産のためによった女性向けブランド用品のカードなんてのもある。)財布の厚みの半分が、そのカードでできてしまうというのもざらなのだ。カードを探している間に、随分と私の後ろに待ち列ができてしまっている。通学途中の学生のようで、焦っているようだ。そういえば今は通学時間のピークだ、もうすぐ授業が始まるのだろう。これは急がなければいけない。

 しかし焦れば焦るほど、見つからないというのは、よくある事で、どうにも見つからない。

 するとその様子を見かねた店員さんが『ポケットの中をご確認されました?』とたずねてきた、おお、そうかそんな事もあるかとコートのポケットを探すと、あったあった。二つ折りの紙のカードが出てきた。

ポイントを押してもらい今度は忘れまいと、写真の紙袋に入れる。散らかしてしまった財布の中身を整理したい所だが、後ろに並んでいる若者をこれ以上待たせるわけにはいくまい、カードの束を持ちながら、私は店を出た。』

 といった所だろう。僕は拾い上げたカードの束をお爺さんに渡す。「ありがとう」そう言って恥ずかしそうにお爺さんはカードを受け取った。

 そんな具合にここ数日僕の前で物を落す人が急増しているのだ。最初は電車の中、一円玉を落すおじさん。即効拾って返す。次は学校、授業中に突然携帯を落す前の生徒。そしてカードの束を落すお爺さん。なにやらどんどんと落す物のグレードが上がっていくような気がするのだけども。まさか最終的にクレーンから鉄骨が落ちてくるみたいな事ないだろうなとか、おっかなびっくりに考えて歩いている日々だったりするわけである。

誰か僕の前で100万円落してくれる人募集。せつに