文化祭まで後二日 | ◆今夜も枕投げ◆

文化祭まで後二日

 居場所を見つけた人の姿は、なんと眩しく見える事か。

 「もう何日も家に帰ってないよ」久々に見た彼の手は、土や油の汚れで黒ずんで、機械を解体したり組み立てたりしていたせいか皮も分厚くなり、一回り大きくなっていた。

 前期が終了して以来一度も会わなかったガンマニアで演劇部員の彼は、すっかりつなぎの似合う立派な整備工のようになっていた。

 彼の研究室は機械を扱っている所で、当然の事ながら文化祭の出し物も設計図から起こし、鉄を加工し、部品から作る大掛かりな機械仕掛けの出し物らしい。

 二年の春、彼は演劇部に入ってから明らかに変わった。打ち込める物を見つけた人間の強さだろうか、それまで暗い青年だった彼は、いつのまにか、いつでもどこでも高いテンションで暴れまわる、面白い男になっていた。授業は出なくとも、部活動のために学校に行く毎日、それが本当に楽しそうで楽しそうで。周りの友人達は、彼が進級できるのかどうか不安気に見つめていたが、僕は彼のその青春謳歌の価値は、単位よりも大事なものに見えた。

 彼の舞台上での演技を見たことがある、まだまだ、地の性格が強く出てしまい、演技というにはまだ難しい評価だけど、自分の精一杯を出している彼は、きっとそれを楽しめているのだろう。彼が満足しているのなら、それは間違いではないのだ。

 そんな彼も三年、主体で参加するのは、おそらく最後の文化祭、今頃油まみれになりながら、エンジンを組み立てているのではないだろうか。