夏っぽいの | ◆今夜も枕投げ◆

夏っぽいの

「やぁ、こんにちわ」

 もう蝉が鳴き始める季節、梅雨の蒸し暑さも過ぎ去り、夏の季節、あいつは俺の前にやってきた。

気温は30度超え、連日の快晴続きでどっかの地方じゃ水不足とかなんだと、TVの涼しいスタジオで看板アナが言っていた

そんないつもの夏、いつもの公園、そこに

いつものように人懐っこそうな笑顔で、はじっこが少しほつれている麦藁帽子を被って

あいつはまた やってきた

「なにはじめましてな常用句使ってんだ」

「いやほら、今年初のご対面、礼儀正しく行こうかと」

「なるほど、じゃあ礼儀正しくここから帰れ、さようなら、ありがとう」

「そんなこといわないいわない、ほらほら、夏だぞ、夏。楽しい楽しい夏休みだぞ」

そういうと、夏の到来を心底嬉しい様子を、俺の前をぴょんぴょん飛び跳ねてあいつは体現する。

このあっつい中、せっかく見つけた木陰のベンチで、魂の癒しをしている俺の前で

元気にぐるぐる飛び回るあいつの姿は、見ているだけで暑苦しい、うわ、汗飛んできた、きたねぇ

「よっし、じゃあ夏休みの醍醐味!ゴリゴリ君一気食いレース10回戦!罰ゲームはいつも通り・・

「負けた方が全部奢りだろ?一人でやってこい」

「えーー!」

付き合ってられん、この勝負過去数年俺の連敗続きだ、むしろ勝った事がない

「じゃあじゃあ ハンデで俺が11本でいいから!」

「かわんねーだろ」

「13本!」

「もう一声」

「・・・15本!」

「よし乗った」

まぁ、これなら俺も勝てるだろう。

「15本か、、一本5秒で食って、、」

やっぱ無理か。

「ほらいくぞ」

俺は恋しい恋しい日陰の青いベンチを立ち上がる

後ろを麦藁帽子の小さい影が追ってくる

日陰から、黄色い光溢れる夏の日差しへと歩き始める、

夏はまだ、はじまったばかりだ。