ビルドを組む時には必ず目的やそれに伴う優先順位があり、逆に言えば皆それ以外を妥協したり条件に縛りをかけたりしている。

もし、構築の段取りが分かり易くて一撃で敵を屠るほどに誰が見ても高火力なものがあれば〝それが最強〟となって皆が其処を目指すだろう。

そう、猫も杓子も〝桜花ペヤング〟だ。

…実に面白くない。

〝右に倣え〟だから面白くないのではない。

これだけ作り込まれたビルドシステムであるのにも関わらず、浅薄なプレイヤーの為に製作陣が敷いた王道レールを進む事が面白くないのだ。



〝スリープ型のビルドは玄人向け〟などと言われるが、それは〝スリープ型最強〟を求めようとするからであり、それこそ堂々巡りの輪の中だと気付いた。

様々な〝効果時間〟の中で戦う〝スリープ型〟には、決め打ちの高火力も無いし、シンプルなアーツコンボリレーも無い。

戦闘の組み立ても、相手や状況次第の複雑さである。

攻撃力を何処で上げるか、スリープ解除をどう回避するか、弱体をどう付与してどう維持するか。

そしてそれらは、クラス・スキル・装備・アフィックス・デバイスの全てに掛かってきて、高水準でバランスを取るのは難しい。

複雑さを言えば〝スリープ型〟に限った事では無いだろうが、〝スリープ型〟はそれ全体を一括りにする事自体に無理が大きい。

これを試そうとする私自身、他の型に比べて火力がどうだDPSがどうだと、無意識に其処に囚われていたりしたのだ。

短期決戦するのか、安定を取るのか、TPゼロからの戦闘を想定するのか、敵のHPはどのくらいなのか…、其れ等によってビルドも戦闘方法も大きく変わり、何処に寄せても突出した能力は見込めない。



私が〝スリープ型〟に面白みを感じたのは、敵が無力化している状態であっても戦闘の組み立てが必要であり、その間常に敵が起きた時の事を考えて居ないといけない、と言う〝安全でありながらも妙な忙しさとスリルが付き纏うところ〟かも知れない。

〝スリープ型〟が強いのか弱いのか、と言えば〝弱い〟だろう。

ワールドエネミーどころか、最上位のオーバードには歯が立たない。

もし勝てても、他のビルドより討伐時間は掛かるし、一発逆転の決め手も無いので気が抜けない。

だがその中でも、自身が気持ちの良い戦い方や安心して戦える主導権を掴む事が出来る。

強くは無いが負けない型。

だがその安全は、自らの戦闘方法で掴む。

しかも、状況や条件によってコロコロ変わる。

〝スリープ型〟は、ある意味どう組み立てようと其れが一つの〝型〟になるのかも知れないな。