バイクを押して歩いていたら、突然、後ろから大きな声がした。
「おい!エンジンを・・・かかってない!」
パトカーから顔出している警官が叫んだ言葉だった。
どうやら歩道をバイクで走ってると思ったらしい。だが、道交法上バイクはエンジンを止めて押して歩く時は歩行者となるので、歩道を歩いても問題ないのだ。
警官は、慌てて丁寧な言葉に直して、
「すみません。何やってるんですか?」
「は?バイクを押して歩いてるんですけど?」
「なんで歩いてるんですか?」
「は?」
もはや意味が分からない。天下の公道を歩いちゃいけないのか?
「忙しいところ申し訳ないですが、止まってくれませんか?」
ボクは面倒くさいので、止まった。大学時代の友人に某県警警官をしてるヤツがいて、警官に呼び止められたら、したがった方が良いとアドバイスされていたからだ。
「なんでバイクを押して歩いてるんですか?」
「バイクを押して歩いちゃいけないの?」
アホな質問には質問で返す。
警官は、笑ってたが面倒くさいヤツに声をかけたと思ったに違いない。
「メットインの中って、観ることできます?」
「見たいのならどうぞ」
メットインを開けて、見せた。
中には、ヘルメットと雨具が入っていた。
警官がヘルメットをボクの許可も取らずに、勝手に持ち上げて、中を確認した。
メットを戻した瞬間、ヘルメットのバイザーが割れて取れてしまった。
もともと割れてたんだけど、それを接着剤とテープで留めていたのだ。が、警官は自分が壊したのと思ったのか、あわてて
「お忙しいところ、ご協力ありがとうがざいました」
と言って、立ち去ろうとしたので、ぼくはもてる法律の知識を動員して反撃を試みた。
「警部補さん。あんた、いまの職質だったんなら、明らかにおかしかったよね?警職法によれば、明らかに不審なことがないと、できないってなってるよね?バイクを押して歩いていることのなにが不審だったの?」
「ええまぁ、バイク窃盗の可能性もあるんで・・・」
この警官、屁理屈が上手い。確かに、可能性はあるが、鍵付きのバイクを押して逃げるバイク泥棒がいるだろうか?
尾崎豊だって、「盗んだバイクで走り出す」といってるし、時間は大抵、夜中だろ?
白昼、手押して、鍵付きバイクを盗むヤツがいるんならお目にかかりたい。
「それじゃ、これは?メットインの中を、勝手にさわったよね?明らかに所持品検査の時にして良いレベルを超えてたんじゃない?。」
「それは申し訳ありませんでした。私としては、『見たいならどうぞ』といわれたので、中の物を出しても良いと思ってしまいました。」
凄い屁理屈。ボクと同い年くらいなのに、警部補になってるのもうなずける。
確かに、ボクは「見たいなら、どうぞ」と言った。「見る」という言葉には、『手に取って見る』という意味もある。そして、「どうぞ」とも言った。これは『許可』を意味する言葉だ。
警官の言うとおり、ボクは任意で所持品検査の許可を出していたことになる。
ボクが言葉に詰まると、警官は、
「本当に、ご協力ありがとうございました。お気をつけて、頑張って歩いてください」
と訳の分からない言葉を残し、パトカーで行ってしまった。
法律論で、ヤリ込もうと思ったのに、うまくかわされてしまった。
その場に残されたボクは、壊れたバイザーをメットから外しながら、なんとなく敗北感を感じていた。
もともと壊れてるバイザーだから、警官が壊した訳じゃないんだけど、あいつが無用心に触らなければ、接着剤が剥がれることもなかったんじゃないか?
でもこれは壊した訳じゃないから、警官のせいにも出来ない。
すげー悔しい。
そもそも警官はボクが歩道をバイクで走ってると勘違いして、呼び止めたんだと思う。
それは最初の「エンジンを・・・かかってない!」って言葉から明らか。
本来なら道交法違反の現行犯で、検挙するつもりが、なんの法律違反もしていなかったので、急遽、職務質問に切り替えたのだろう。
若い部下の手前、そうしないといけなかったのかも知れないし、警察という看板の為かも知れない。
しかし、そんなアホ警官の安い見栄の為に、衆人環視の中で警官に呼び止められ、メットインを開けさせられ、挙げ句ぼろいヘルメットのバイザーを壊されて、恥をかかされた。
さらに法律家の端くれなのに、法律論はかわされ、反撃できなかった。
エンジンをかけてないことが分かった時点で、警官が「何でもありません」と言えば済んだ話だ。
それなのに何にも悪い事してないボクが、なぜ今日一日、気分を悪くしないといけなかったんだよ!!!(>_<)
○○中央署の警部補のせいだ!!