懐かしに駆られて読み返したところ、とても興味深い作品があった。
それが「もの食う人びと」だ。
辺見庸のノンフィクションをベースにシナリオ化された作品。
原作が様々な賞を獲っているので、知っている人も多いと思う。
衣食住の「食」の視点から。世界の理不尽さを問うた作品だ。
この号に掲載された回は、今現在日本に生きる人たちに鋭く突きつけてくる内容だった。
それはチェルノブイリの回だった。
高濃度の放射能に汚染された森で生きる老人たち。
明らかに放射線の影響で健康を害しているのだが、それでも故郷を離れることもできず、放射能まみれの食材と薪で日々の暮らしを成立させている。
さらにインフレにより経済がうまくいっていないので、どうしても原子力に電源を頼らざるをえない実情。
老人たちにはまともな医療もなく、立入禁止地区で死を受け入れるしかない。
放射線で死ぬのか、飢えて死ぬのか?
当地の人々は、もはや諦めるしか現実と向き合うことができない、どうにもできない状況に生きている。
これはまさに、今現在、日本に暮らす僕たちにつきつけられている課題そのものだと思った。
15年前に読んだときは、こんな事感じなかったのに。
僕たちは諦めで現実に対峙しなければいけない時代を生きているのだ。
今更、それを思っても、後の祭りだったが。