がっかりした『砂の器』 | Happy-Gate

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本当なら、この3月に放送するはずだったテレビ朝日系スペシャルドラマ、玉木宏主演『砂の器』。
松本清張の名作が原作なんだけど、この2011年版は、酷いできあがりでした。
 
演出面でいえば、玉木宏の長髪、茶髪というだけで、もうダメ。
時代背景を無視しているのダメ。
 
しかし、そんな表面的な部分だけでなく、物語のテーマがとても矮小化されてしまったことが、致命的にダメ。
 
原作のテーマは、いわれない「差別」だった。
時代背景もあり、ハンセン氏病という設定ができなかったのは仕方ないことかも知れないが、物語の重要なテーマを下手に改変してしまっていた。
 
親が殺人者の嫌疑をかけられたからといって、その事実は、他人になりすまして隠さなければいけない事ですか?
まして和賀は前衛芸術家なんですから、そのことがバレたところで、その評価が下がることはないでしょう?
 
しかも、他人になりすましていることを隠すために、恩人を殺すというのも・・・。
 
制作陣は、本当にこれでよかったと思っているんですかね?
ボクにはどうも安易な形に逃げたようにしか思えない。
 
例えば、ハンセン病とからい病という単語が使えないなら、「伝染病」という一般用語にして、詳細は原作にゆだねるという形にするとかは考えなかったのかな?
 
もちろん、2011年版のテーマは、「差別」じゃないと、制作陣は反論するかも知れない。
それならば「砂の器」を原作に、ドラマを作るべきではなかった。
 
難しいのは理解できるが、やはり「差別」というテーマから逃げてはダメだ。
安い2時間ドラマのような仕上がりに、正直、がっかりした。
 
期待値があがってしまったから、そう感じるのかも知れない。 
ずっとお蔵入りになってきた理由について、てっきりいわれなき差別が描かれているからだと思った。
震災以後の東北人への差別。国外において日本人への差別。
 
そういう事が惹起されてしまうからこそ、お蔵入りしていたのだと。
もしそうなら最近のドラマにしては、かなり冒険的な試みだし、見応えがあると思った。
 
実際には、作品中、別に震災に関することや、差別に関することは描かれておらず、せいぜい前編での大学構内のシーンで、背景の看板にちらっと映る程度の「・・・3月11日・・・」くらいしか、震災を思い起こさせるような部分はなく、お蔵入りの理由が見えなかった。
 
もし3月に放送されていたら、こんな感想を抱かずに済んだかもと思うと、残念。
 
最後に、空襲のシーンのCGはすばらしかった。
でも、「砂の器」は映画版が傑作で、それを見た方が良い。