アンフェアな月 | Happy-Gate

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半径5mのライフログです。

 ドラマで話題になり、こないだもスペシャル版が放送された「アンフェア」の原作小説ですね。
 雪平夏美シリーズ最新作だそうです。

 私と同じようにアンフェアのドラマにハマッタ母が、原作だと思って買ったようです。
 実際には、ドラマは「推理小説」という作品がベースになっているのだけど、タイトルだけだと、こっちが原作だと思ってしまっても仕方ない。商売上手だな。
 
 この原作者、本業はドラマの脚本家とか演出する人らしい。
 こういう経歴の人だと真っ先思い浮かぶのは、野沢尚だ。
 ただ野沢と違って、文体はチープ。映像出身の人らしく、小説でも視覚表現を大事にしている。
 
 ただ、この小説、事件のプロットとか面白かったけど、何だかドラマのノベライズ作品みたいで、2時間もあれば読破できてしまうのには、参ったね。
 読み応えはありません。まさに2時間ドラマですよ。この作品、何がテーマなんでしょうかね。

 テレビマンとかへの批判なんでしょうかね。じぶんのことを棚に上げてね。
 それにしては、野沢尚の『破線のマリス』や『砦なき者』ような社会性、批評性はなく、考えさてもくれない。この作者の底の浅さを感じずにはいられない。
 100%エンターテイメント。
 野沢尚との比較をしてしまって申し訳ない。向こうは、吉川英治文学賞まで取っている大御所ですしね。
 ただ、作者の履歴や作品世界が似ているんだよね。
 女刑事に、誘拐モノ、これって『リミット』を彷彿とさせてくれる。
 そして、マスコミ内幕ものとしては、『砦なき者』とか『破線のマリス』。
 
 それからやっぱり動機無き殺人事件です。プロットとしては、どんでん返しの連続だから、スピーディな展開なのだけど、犯人の心理にも触れられていないし、プロットのための事件という感じで、ドラマであれば面白かったのかも知れません。
 しかし、小説という媒体は、映像でも音でも表現できない、心理的な部分、つまり登場人物の考えであったり、思ったことだったり、生理だったりを、文章という形で表現しないといけないので、ただプロットをなぞっただけでは面白くないのだ。
 もう少し、犯人の描写を掘り下げていたら、もっと面白かったんじゃないかな。
 なぜ殺人をしなければならないのか?なぜ誘拐という方法を選んだのか?

 このなぜが浅いせいか、全体にチープな印象を受けてしまう。
 ハードカバーで1600円だが、これは高い。文庫化されるか分からないけど、5,6百円ぐらいの文庫価格が適正値だと思う。