野沢尚のミステリーの映画化。
一家惨殺事件の加害者と被害者の娘が、大人になって出会い、共謀して殺人事件を起こそうとする。
いろいろとあるが、概ね原作を忠実に映像化していると思う。
テーマとしては、死刑制度、加害者、被害者の家族、ドメスティックバイオレンス。
ちょっとテーマが散逸しているようにも感じる。まとまりが無いような。完全犯罪を目指す作品だったのかも知れない。
でも一番描きたかったのは、被害者家族と加害者家族の和解なのではないだろうか。
ひとつの事件で絡み合った人生から、立ち直り、自立する過程を描いた作品だと思う。
そう考えれば、ラストシーンの何とも爽やかな感じ、まるで青春映画を見ているような不思議な感じにも納得がいく。
それにしても、悔やまれるのは、野沢尚という才能が、もうのこの世にはいないと言うことだ。
被害者と加害者の娘が、共謀して犯罪を犯していくプロットなんて、普通思いつかないんじゃないかな?
普通、凡庸な作品だと加害者サイドへの復讐という展開にしてしまう。実際、作品に触れるまで、そう思っていた。
ところが、こういう展開になるとは。
生前、野沢尚はこの作品を自分の代表作にしたいと意気込んでいたらしい。実際、そう言ったのか、それともスタッフたちに活を入れるつもりで言ったのか、今となっては分からないけれど。
野沢ミステリーのひとつの到達点であるとは思った。
ちなみに、この作品に登場する「アイスストーム」は、CX系ドラマ『氷の世界』でも、出てきましたね。それから「永和学院大学」も出ていたかな?ドラマの方は「永和女学院」だったっけ?
と言うことは、この作品の根幹テーマは『氷の世界』と共通しているのかも知れないと、深く読んでみたりして。
野沢さんの作品では、『眠れぬ夜を抱いて』でも、『眠れる森』や『青い鳥』と世界をリンクさせていたから、実際にはファンに向けてのサービスでしかないんだろうけどね。