三つ子のキャットシットワンの超高金利書評録-03287372.JPG

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ミツゴ的評価 ☆☆☆+☆×0.5(☆3.5コ)

【書評】モンタージュ理論的

モンタージュ理論という言葉がある
例えば「Aさんがコーヒーの入ったコップを持っている」「Aさんが空のコップを持っている」と言う2枚の写真があったとする

ソレを見た人はおそらく「Aさんがコーヒーを飲んだ」と解釈するだろう。
だが 実際はAさんはコーヒーを捨てたかも知れないし、写真に写っていないBさんがAさんの代わりに飲んだのかも知れない

つまり、人間は断片的な情報から勝手にシナリオを構築する生き物であると言える

本書を読んだ感じもそうだった
・軍隊は莫大な物資を消費する
・莫大な物資を生産、流通させるには産業を起こす必要がある

この2点からゾンバルトは「ヨーロッパ中世から近世にかけて巨大化した軍隊が産業を育て資本主義を育んだ」と結論している

だが、待ってほしい
では何故 軍隊が巨大化したのか?
例えば中世から近世にかけて各国海軍の軍艦が質・量ともに巨大化したとある
だが 何故、海軍が巨大化したのか?
あるいは出来たのか?
と考えるとまた別の答えが産まれてくる

ゾンバルトよりやや先の時代の軍事学者のアルフレッド・マハンは海軍の意義を「通商を守る事」と位置付けた

つまり、資本主義の発達により 貿易が発達し、貿易の維持の為に海軍力に力を入れた とも解釈が可能になってくる。
さらに言えば 民間の資本や設備を軍事に流用する事で 軍隊の巨大化が可能になった とも解釈が可能だ。

つまり「軍事力を養う為に経済が発達した」か「経済が発達した為に軍事力を維持拡大が可能になった」かの違い、早い話「ニワトリが先かタマゴが先か」という事やね

そういう意味ではゾンバルトの説はやや強引、というか繋がりに弱さを感じる
「想像に難くない」や「容易に想像できる」では正直 説得力に欠けると思われる。

また、欧米色の強い歴史家に有りがちだが アジアとの比較が為されていないのも残念
何故ならアジア諸国も膨大な軍隊を保有していたが 資本主義は起きなかった
その辺りの比較研究も必要だと思った。

なんか悪口書いたみたいでアレだけど、本書の魅力は数々の「数字」にある

軍艦1隻こさえる代金、軍隊一団の必要な制服代、戦争のあった1地域の受けるだろう戦災費用、1軍の食べる穀物の代金、、、、、軍隊にまつわる「お金」の話が沢山出て来る

本書は資本主義勃興期における軍隊の経済的側面の研究 という意味では大変優れたモノ、として見ていいだろう。