三つ子のキャットシットワンの超高金利書評録-03055973.JPG

内容説明

17世紀から19世紀末までの「清朝封禁の地」から、日本帝国の解体、そして戦後の東北復興まで。日本にとって、満洲とはなんだったか、真摯に問う。日本人のためのまったく新しい中国東北史。

http://www.bk1.jp/product/03055973

三つ子的評価 ☆☆☆

【書評】面白いが新書でやるにはやや難があるのでは?

満洲の歴史本
個人的には面白かったが新書でやるにはやや無理が感じられた
例えば満洲事変を語る際には必ず必要になる「満鉄並行線問題」「漢族と朝鮮人の対立」がスポイルされているのは残念

では何か書く
満洲には昔から渤海や金等が栄えたが、注目されるのは17世紀 女真族が清王朝を打ち立てる所である
女真族が中国本土(中原)に進出した結果 満洲は人口が空洞化し 人口爆発を起こした漢族が流入する結果になる

事態が急変するのは19世紀
産業革命に伴う「世界の一体化(グローバリゼーション)」が満洲の主要産業であった大豆を世界商品に押し立て、満洲は世界経済に組み込まれる事になる
満洲からすれば大豆の生産と輸出が巨大ビジネスとなる訳だから 後に軍閥や日本にとり利権となる訳やね

日本が満洲に進出したのもこの辺り
1904年に日露戦争が勃発 満洲は日露両軍にとり主戦場となる
両軍 数十万の兵が動く、人が動き モノ(物資)が動けば カネも動く、満洲は空前の戦時好景気に見舞われる訳だ
多くの日本人が好景気に釣られ満洲に進出する(1番多いのは娘子軍だったり)
さて戦争は流通を活性化させる、大量の兵員物資を輸送するには港湾と鉄道が必要になるので 日本軍はソレを整備する訳だ
これが戦後 南満洲鉄道、所謂「満鉄」になる

整備された鉄道と港湾から満洲産大豆が世界中に輸出される、当然コレは巨大な権益になる
時はちょうど辛亥革命、清朝なき後 地方の有力者達が好き勝手に跋扈する時代を迎える
満洲も例外ではなく 軍閥達が勝手に刷った紙幣で 大豆を買いあさり輸出する事で軍事費を賄っていた

コレをしたのが奉天軍閥でボスの名前が張作霖やね
張は満洲で蓄えた巨大な軍事力をバックに中国本土に進出する、当然莫大な資金が必要になるが ソレを満洲に頼る以上 住人には重税という形でのしかかる

やがて日本が満洲に本格的に進出する(本書はこの部分の書き方が不十分だと私は思う)
まぁ理由は調べれば色々あるでしょう
所謂 満洲事変が起きて 日本(というより関東軍)は溥儀を担ぎ出して満洲国を建国する訳だ
日本は満洲を資源の供給地と位置付ける、資源開発には莫大な人員がいる訳だがソレを 当時大量に発生していた失業者や貧農の移住者で賄おうとする
日本国内では「満洲には無限の土地がある」的な事が言われる訳だが、当たり前だが農業に向いている土地なら他の誰かがとっくに農業している
また、満洲には既に中国人農民が根を張っている訳だから、日本人移民は中国人と壮絶な価格競争戦をしなければならない(同じ農作物なら、賃金の安い中国人の方が価格面で優位に立てる)
さらに悪い事に、日本は日本人移民向けに中国人の土地を武力を背景に安く買い叩く訳だから、土地を失った中国農民は馬賊となり 日本人に襲い掛かる、怯える日本人、当然精神的物質的なプレッシャーとなるので移民は上手くは行かなかった。

まぁ最後は皆さんご承知の通り 敗戦とソ連軍侵攻で財産をオッポリ出して逃げ出す事になる訳やね