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ミツゴ評価 ☆☆☆☆
<書評>受難の大地
皆さんは「シャンパン」なる飲み物はご存知だと思う
が、「シャンパーニュ」が何処ら辺にあるか 意外と知らないのではないだろうか?
地図で言えばフランス北東部、ドイツやベルギーとの国境付近なんだけど、国境地帯の常として、歴史的に戦火に晒されて来た土地でもあった
さてシャンパン、なる飲み物が発展したのは17世紀、ルイ14世の時代だ
ルイ14世は今日でいうファッションリーダー的な存在であり、彼のライフスタイルは全欧州のモデルとなった
そんな彼はシャンパンを愛した為 全欧州の王侯貴族がそれにならい シャンパンは爆発的にヒットした
時は流れ、フランス革命 そしてナポレオン戦争
王侯貴族というマーケットを失ったシャンパン業界は奇策に走る
当時ナポレオンは全欧州を手に入れようとしていた
つまり欧州のアチコチにフランス兵がいた訳やね
彼等にシャンパンを売り込んだ訳だ
戦勝に酔うフランス兵達は景気よくワインを飲み、この戦略は大ヒットを納める
オマケにこの戦略は全欧州へシャンパンの宣伝としての効果を発揮した、欧州各地への輸出の道が開けた
やがて革命の混乱も落ち着き 1830年代頃から フランスにも産業革命が及ぶ
そしてナポレオン3世による帝政期、フランス経済は絶頂を迎えた
当然シャンパンは売れる、日本のバブルと同じやね
だが 繁栄はあんまり長くは続かない
フランス経済の低迷と隣国プロイセンとの戦争が始まったからだ
国境地帯のシャンパーニュは当然戦場になり、占領された
かつてフランスに占領されたドイツ人達は、まぁ飲むわ 飲むわ
オマケに占領された事で流通や販売がマヒ、当然シャンパーニュはしんどくなる
それでも戦後何とか、立ち直るシャンパーニュ、だが次なる試練が襲い掛かる
実はシャンパンは世界的に大ヒット
ロシア皇帝(とロシア貴族達)に気に入られたし、19世紀終わりにはアメリカという成長市場も参入して来た
要はシャンパンはよく売れた
だが何故かシャンパーニュの葡萄の生産が増えていない、何故に?
答えは一部の大生産者と販売業者(ネゴシエ)が結託して、海外の安いブドウの混ぜ物をしていたからだ
当時の規制ではシャンパンのブドウは51%以上はシャンパーニュ産を使うべし、とある
つまり49%までなら外国産のブドウだろうがリンゴ汁だろうが使っても構わないという訳だわさ
零細農民(一般にフランスのブドウ農家は零細的)のワインは買い叩かれ、ネゴシエの買い付け人には賄賂まで要求される始末
困り果てた農民達は 当時流行りのストライキを起こす
問題なのがシャンパーニュが国境地帯だということ
農民達の不満がフランス国家への反抗となり、やがて(何を血迷ったのか)「ドイツ万歳」となった
当然 当時の国際情勢的にマズい訳で(当時のドイツは今の中国に似ていて、爆発的な国力増強と領土拡張熱があった)
軍隊を派遣するフランス政府、まぁグダグダモードに突入した20世紀初頭
すべてをひっくり返したのは第一次世界大戦だ
案の定戦場と化すシャンパーニュ
大砲が炸裂し、畑もインフラもグチャグチャ、辺りには死体が散乱 毒ガスまで使われる
当然土壌は激しく汚染される罠
ワインを作ろうにも人手は徴兵されるし、砲弾が飛び交う中じゃ畑の手入れは出来ない
やっと戦争が終われば、ロシア革命 ドイツ革命 ハプスブルク帝国解体とお得意先は未払いの売掛金と共に綺麗に消滅
オマケにブドウの疫病までくる始末
最後の巨大市場たるアメリカに売ろうとしたら、、、、、、禁酒法
ここまで来るか?フツー
まぁ禁酒法はやがでうやむやになり 解禁されるんだけどね
こんなグダグダぶりを抱えて フランスは第二次世界大戦に突入する
そこではやはり色々物語があるわけだが また別の機会に
本書を読んで思ったのは シャンパンはグローバルな商品である という事
意外かもしれないがフランス人はあまりシャンパンを飲まない、例えばボルドーの人間はボルドーを ブルゴーニュの人間はブルゴーニュを飲むからだ
さらにシャンパンを作るには(今は知らないが)昔は砂糖を利用していた
19世紀になるまで砂糖はヨーロッパでは作れない、カリブのプランテーションでサトウキビから作っていた(それをイギリス船が運ぶわけだ)
余談になるがナポレオン戦争で砂糖の輸入が出来なくなったフランスの対策が砂糖大根(甜菜)だったりする
販路も全欧米世界に渡っているし、万博でハデな売込もしている
例えば日本酒なりが 伝統的に外国の材料に依存したり 海外販売が主力だったりした事があっただろうか?
いや 事の善し悪しは問わないけどね
私も機会があれば飲んでみます そうオモタ
