http://www.bk1.jp/product/02148029
ミツゴ評価 ☆☆☆☆
<書評>国際政治は甘かぁない、日本帝国細腕繁盛記!
右派(大東亜戦争は正義の戦争だ)と左派(戦争は絶対悪、非武装平和は絶対正義)には共通点がある
どちらも物事の価値基準を「善悪」においている事だ
くだらない
社会の正義とは突き詰めれば「パン屋の慈悲」にすぎない
つまり利害こそがすべて、だ(ただし信用が利益になるケースも多いので、何をしても許される訳でもない)
本書のテーマは黒船来航により、慈悲のカケラすらないゲゼルシャフト(=国際社会)に放り込まれた 近代日本の細腕繁盛記である
さて基本の近代を語る上で欠かせないのが、朝鮮半島の存在である
思えば日本と朝鮮は19世紀後半まで国を閉ざして来たという点が似ている
そこへ、阿片戦争以降の欧米のアジア進出が起きる
「東洋の大国・清すら打ち破る、欧米の進出へ如何にすべきか?」という課題が投げ込まれた
日本が選んだのは欧米のシステムを受け入れ、富国強兵により国際社会(≒欧米社会≒西欧+米国)の1員となる 事であった
その1つの成果が日露戦争だ
国民国家と議会制の国、日本がイギリスと同盟を結び、アメリカから金を借りて アジア的専制主義国家ロシアを打ち破った戦争である
ベトナムの東遊運動をあげ、この戦争を「アジアVS欧米」さらに「黄色人種VS白色人種」と見る向きもあろうが、ベトナム人が学ぼうとしたのは 日本の近代化≒西欧文明化である、この点からも一部の見解は的外れである
(半分タタール人の欧州ド辺境、しかも東方聖教系のロシアを欧米の代表の如く言うのも変な話だが)
さて山県有朋の言葉に「主権線」「利益線」がある
「主権線」は国境線だ、日本なら領海線といって良いかも知れない
問題は「利益線(interst line)」だ
つまり「国外なんだが、国の安定には必要な勢力圏」の事だ
私はinterstを"関心"と訳した方が理解が早いと思う
あるバカ(朝鮮系の政治学者)が「山県の利益線こそ日本の野心と侵略の元凶だ」等とうそぶくが、利益線自体は現代も普通に存在する
例えばブレジンスキー(元米国大統領補佐官)はフランスにとりドイツとポーランドが、ドイツにとりポーランドとウクライナがソレにあたると書く
仮にその地域にロシアが進出すれば無関心ではいられない、場合によっては妨害工作もする という意味だ
ブレジンスキーを知らない政治学者もマズいよなぁ
さて日本の利益線は朝鮮半島だ
仮に中国やロシアが日本を攻めるなら朝鮮半島が拠点になる事は明白だからだ
つまり朝鮮半島、特に現韓国部分は大陸からの圧力への日本の楯であり防波堤だ
これは過去も 現在も おそらく未来も変わらないだろう
日清 日露戦争とは つまり朝鮮半島への清国やロシア進出阻止に他ならない
これは朝鮮の独立維持や(日本の宗主権下の)近代化もあるが 要はパン屋の慈悲だ
さて日本は自らを欧米文明の1員と足らしめようとした
だが第1次大戦後辺りから怪しくなって来た
当時欧米列強は中国の独立と発展を支持した
これも"パン屋の慈悲"つまり植民地拡大の力を失い中国でのビジネスを 植民地化→貿易と投資に切り替えつつあった訳だから 貿易相手が安定的で裕福な方が都合が良いからだ
だが 日本はその中国市場を武力を背景に独占しようとした、ロシアが滅んだ事がパワーバランス的に拍車をかけた
当然欧米とは対立する そこに人種問題が絡んでくる
特に1920年代には排日移民法等があった事が拍車をかけた
そして対立がやがて太平洋戦争につながる訳だ・・・・
さて私は何度も"パン屋の慈悲"という表現を使った
つまりパン屋は慈悲心ではなく売上の為に良品を売るように 国家は利益の為に行動すると
さて、時に日本の韓国併合等は批判される
だが当時はそれは国際社会から承認された正統なモノだ
何故承認したかは正しくパン屋の慈悲だ、要はパワーバランスの結果だな
そんな世界にあり道義性がどうだ 等いうのは愚かしい、私はそう思う
因みに私は「李朝鮮がコロコロ宗主国を変えたのはバランス外交だ、酷使サマが批判するのはおかしい」的な文を見た
いや私は酷使じゃないが 地政学的に重要な国が満足な国力的な裏付け抜きにバランス外交するのは批判的なんだかな
スイスやスウェーデンがどれだけ軍や外交に心を砕いていることか
邯鄲の歩みだな
