超高金利書評子、三つ子のキャットシットワンのブログ-01702891.JPG

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ミツゴ評価 ☆☆☆☆

<書評>現代人への遺言状

現在 今まで語られなかった 戦争中の出来事が語られ始めている
戦争を「記憶」として知っている人達にとり ここ数年が最後の機会になるだろう
やがて 誰もあの戦争(太平洋戦争でも大東亜戦争でも15年戦争でも構わない)を記憶しなくなるだろう、あるのは「記録」だけだ

時代が代わり語り部達も確実にいなくなる コレは仕方ない事だ
本書は戦前、特に大正・昭和を生きた都市部インテリ層の数少ない語り部が現代人に宛てた遺言状だと私には写った

さて本書には、「戦前は真っ暗だったのは大嘘、実際はラジオや映画、洋食にカフェ、テレビ以外は現代の娯楽はたいていあった」とある
コレを見て 戦前は素晴らしい、というのは早計である
何故なら その恩恵にあやかれたのは一部の都市中間層だけだからである
戦前は現代の中国なぞ比較にならない程の格差社会だ、ジニ係数が0.573とかあった
農村じゃ白米を食べられるのは祭の時だけ 普段は麦飯、飢饉になれば娘売りが多発する世界だ
その辺を勘違いすると、こんな風になるhttp://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq08n03.html#was-rich

さて私は「戦前に既にテレビ以外の現代の娯楽が既にあった」と書いた
だが1つ 現代と戦前には違いがある

映画にしろ カフェにしろ 少なくとも80年代生まれの私が子供の頃には既にあった
5~60年代生まれの私の両親が生まれた頃にも既にあっただろう
だが19年生まれの山本氏が生まれた時にはソレはなかった、少なくともまだ定着はしていなかっただろう
我々が当たり前として享受する娯楽は彼にとり 当たり前ではなく既存の文化との攻めぎあいでもあったのだろう
戦前を生きた人々の価値観はそこにある

例えば映画
映画と演劇の根本的な違いはわかるだろうか?
演劇とは多くは旧作である、私たちは「ヴェニスの商人」でも「ちはやふる」でも粗筋は知っている
だが 新作の映画の粗筋は見ない人にはわからない、観客は粗筋を知らないモノを見るわけだ
山本氏は故に映画は程度が低いという、客が常に新鮮さを味わえる分、演技が下手なのも隠せるからだ
だからどう、という訳ではない ただ現代と戦前では物事の捉え方が違う

前回に比べて☆を落としたのは 審査が厳しくなった為

にしても 軽くムカつくおじさんだな

あと本書は別に「戦前は素晴らしい、現代はダメだ」なんて内容ではない
まず前提に「戦前は暗黒時代」という認識が現代人にはある
この認識は後天的なモノ、つまり学校等で教えられたモノであり現代人が目の当たりにしたモノではない
山本氏は、当時を生きた人間の1人として後天的な認識の否定を訴えている訳だ
実際本書を読めば「戦前にも楽しい事はあった」という流れだが「戦前は楽しい事ばかり」という流れではないし 戦前マンセーでもない
その辺注意されたし