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911以後 世界の枠組みは変わってしまったのか? 民族問題は「正義と悪」の二元論では割り切れない。
民族地図から読み解けば、複雑な事件も全く新しい答えが見えてくる!

http://www.bk1.jp/product/02722024

ミツゴ評価 ☆☆☆☆

<書評>民族問題の複雑さ

本書は題名通り民族問題について広く 適確にまとめてある
正直私のように深く狭く、のタイプの人間には書評は書きにくい訳でもあるんだが・・・・
何か書くか

民族問題とはたいてい 他の要素が強く絡む
例えば バルカン半島、旧ユーゴスラビア紛争では 豊かなスロヴェニアやクロアチアと貧しいセルビアとの対立があった
豊かさとは 地理的条件やその国の文化や風土に由来する事が多いので、それらを尊重すれば たいてい経済格差は開く
経済格差を縮めようとすれば 豊かな地域の自治権を脅かす形になりかねない
これは資源国に多く見られる構図でもある、資源の豊かな地域の民族とそうでない民族との対立やね(例えばビアフラ戦争やスーダン内戦、イラクのクルド問題にも北部のキルクーク油田が絡んでくる)

さて「豊かさは文化や風土を反映する」的な事を書いた
逆に言えば 経済的な成功を修めたいなら 民族固有の文化に変革を要求されたりもする
例えば アメリカやオーストラリアの先住民
伝統的な道具の狩猟採集や農業ではやはり生産は限られてくる、豊かになりたいなら都市や鉱山での生活をしなければならない事もある
当然 伝統的な生活は諦めなければならない
ならば、観光は?となる
観光となれば 「見たい人に合わせた」生活を強いられる事もしばしばある
例えば 先住民の人もTシャツを来て携帯電話を持ってたりするし、狩猟だって 伝統的な弓矢ではなく銃を使ったりもする
だが、ソレ見せて観光客がお金落としてくれるの?ていう話やね

伝統的な生活=近代的生活の否定 にしばしばなってくる
文化の保護と社会福祉、これは人権を尊重する先進諸国共通のジレンマとも言えるかもしれない

ちなみに学校教育にも地域言語(方言)の否定や国家への帰属意識の植え付けなんて側面は強い(興味があれば「最後の授業」について調べてみるのも一興、エルザス・ロードリンゲンはドイツ語圏だ)
だからといって「義務教育を廃止しろ」とはなかなか言えないでしょ?(だから「地域文化との両立」とかで苦労する訳だ)

また「民族」自体もしばしば政治性を帯びてくる、この辺が民族問題の複雑化と一般への理解不足の要因になっているだろうと思う
例えば 中華民国では五族協和(漢民族、モンゴル、チベット、満州、ウイグルは皆仲良く)という
だが 20世紀初頭の歴史地図を見れば明らかなように 5族の内漢民族以外は国境の民族(日本やロシア、イギリス)だったりする
要は 少数民族を手なづけて漢民族領域の防波堤にする目的だ(そもそも、これらの少数民族は清朝皇室に忠誠を誓っていたのであり、中華民国に忠誠を誓っていた訳でもない)
もちろん 日本の北海道の領有化にもそういう側面は強い、故に 対アイヌ政策にも当然反映されている

いや なんか重くなってきたな
最後にネタを
少し前 星条旗が中国製多数な事が問題 というか話題になった
で その中国 広東省でやたらカラフルな旗を作っていた工場が摘発された
その旗は中国で禁止されているチベット国旗だったのた!
なんのことはない 工場関係者は誰ひとりチベットの旗の事を知らなかった訳だ

では 締めくくりにこういう問題は難しい、という事で