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ミツゴ評価 ☆☆☆☆☆
<書評>経営者 織田信長
本書は「もし信長が本能寺の変の後も生きていたら」をテーマにした 娯楽小説である
圧倒的に面白いし示唆に富んだ内容である
本書をよんで気付かされるのは、信長が"謀反体質"であった事である
織田家は東海地方の中堅クラスの大名だ
そんな織田家は信長の時代に躍進する、背景には 有能な人材の抜擢と多くの商人を味方につけた事、海外からの新技術導入だ
織田家は大きくなった
ライバルの毛利は織田家の「同盟」という形の支配を受け入れるし それは毛利の経済力と軍事力、特に村上水軍を九州や四国平定に使える という訳だ
また東国も 唯一戦えそうな北条氏も 国力と人材で明らかに勝ち目がない訳だ
こう考えれば織田家の天下統一は目前となる訳だが問題も出て来る
1つにあるのは"有能な部下"の処遇だ
彼等は手柄を立てた以上 恩賞、つまり領土をもっている
ならば織田家が拡大政策を取る限り その領土を狙うのではないか?
また有能な部下達が謀反を企むかもしれない
信長がこう 考えれば、当然 部下達を潰しにかかる
部下達もソレは知っている、信長が苛烈極まりない性格である事も
ならば どうする?やられる前にやるしかない、となってくる
これは家康も同じ
織田家が西国を支配すれば 次は東国だ
東国の大名で信長に勝てる人間はいない
ならば徳川家と同盟を結んで 東国に備える必要もないし、むしろ徳川を「獲物」として認識するかもしれない
故に 信長には常に「やられる前にやれ」的な謀反を起こされるリスクがある
さらに見てみよう
織田家とは当然織田の一族郎党であり、織田家が支配する尾張はいわば家族経営の会社みたいなモノだ
その織田家は日本を統一しようとしている
となれば 日本の統治システム(政府)としては家族経営ではダメで 組織の拡大と近代化が必要となる、例えば幕府のような中央政府だ
当然 人材の問題も出て来る、既存の部下達にも地方に領地がある以上、「中央政府」への参加は難しい
ならば 「官僚」を採用するしかない
という事で 様々な形で様々な階層から人材を集める だろう、な話
当時は日本経済が拡大し、大規模な都市開発や建築が盛んな時代
当然テクノクラートの需要も生まれる
つまり 組織に視点を向けた本 という話
