http://www.bk1.jp/review/487906
ミツゴ評価 ☆☆☆☆
<書評>ビジネスパートナーとしての中国
いやよくは出来ているよ
でも足りない、と思う
本書の要旨は「中国は莫大な資金と豊富な人材を抱えている、だから中国と対等な形での技術的なパートナーシップを結ぶべき」って内容
だが待てよ? 確かに中国のポテンシャルは驚異的だ
例えば(人口に裏打ちされた)米国の一流大への留学者数や論文の引用数
あるいは格差による飛び抜けた人材、技術への投資が熱心な姿勢等
しかしだ、それだけで「パートナーシップを結ぶべき」は些か安直な気がする
おそらく 日本人の大半は対中ビジネスの不安点に「技術流出」があると思う
著者はこう言う、「技術を独占するなど不可能、そんなことは気にすべきではない」
いや 要するにパートナーとして信用できないのでは?の答えが「仕方ない」って話じゃ納得できないよ
また「既に欧米では中国との技術的パートナーシップを熱心に結んでいる」的なくだりがある
私はこういう表現に人間の器が表れると思う
例えば「中国や韓国は新興国市場に積極的だ、日本は出遅れ」なんていって喜ぶ人がいる
だが 投資なんてカネさえあれば誰でも出来るんだ
投資とはリターンが来て初めて成功なんだ
だから 成果を提示せずに「欧米がやっているから」とは 要するに結果を気にせずに投資しろ と言っているのに等しい
だから 本書には 中国とのパートナーシップによる成功例を例示した方がいい、と思った
いや 文句ばかりいうのもアレか
では少し視点を変えて
日本企業は毎年多額の研究開発費を投入している
GDP比でみれば北欧等を除く 先進国トップだし 金額も英独仏の合計と同水準だ
なのに 何故か日本製品(特に家電)は新興国市場ではあまりウケない
理由の1つは「高くていい」日本製品より 「安くてもそこそこ」な中韓製品の方が 新興国の経済水準的には利に適うからだ
また 中韓製品は例えば「鍵のかかる冷蔵庫」(インドの富裕層の家ではしばしば、使用人による食料品窃盗が起きる) バッテリー内蔵テレビ(東南アジアのインフラ事情では停電が起きやすい)といった現地の事情にあった製品を出すのに対し 日本企業は「高品質=人気」という変な差別化戦略を持っている為に失敗したという
ではどうする?普通なら日本も「そこそこの製品」にシフトすべきというだろう
だが 筆者は中韓メーカーとの差別化+現地経済の発展 を踏まえ その道を否定する
これはこれで1つの解答だと思う
