三つ子のキャットシットワンのブログ-110211_1755~01.JPG

高度成長もバブルも、すべて「戦時経済体制」がもたらした!

http://www.bk1.jp/product/02950299/reviewlist/

ミツゴ評価 ☆☆☆☆☆

<書評>或る高級官僚の半生

面白い、私は野口氏の本は当たりハズレが大きいと思っているが これは明らかに「当たり」であろう
この本は 高度成長期を大蔵官僚として過ごした氏の回顧録という側面がある
我々は自分が生きた時代以外を肌で感じることはできない
だからこそ 世界的に稀有な高度成長、そしてバブルを知る本が貴重となってくる

日本のシステムは戦前の統制経済下で構築された
戦前は持ち家率は低く、転職は当たり前、また貧富の格差も極めて大きかった
よく「日本人は農耕民族であり、土地に愛着がある」なんていう
なんの事はない 戦前の農民の過半は小作農だ
小作は地主に莫大な小作料を払わなければいけない、小作農は払いたくはない
結果 日本の農村は共産主義の地盤となっていた
これを踏まえれば 戦後政治はわかりやすい
戦後 農地改革、そして インフレにより(借地法等により)固定化かれた小作料の実質価格が下がった事により 自作農が増加した
自作農とは農地という資本を有する農民である
戦前は農地の国有化による小作料の廃止を求め 共産主義を求めた農家は 戦後 自分の土地を守るため 個人資産保護に熱心な保守政党 そう自由民主党を支持した
農村が自民党の地盤と言われる所以である

インフレ、経済成長という環境下では名目資産の需要が増す
だが 日本では株式は額面主義等があり、資金調達のメインにはなれなかった
企業からすれば 1000円の価値のある新株も 一律50円では割に合わない
ならば日本人は不動産に富を集中させた、日本の人口と経済が発展するかぎりは不動産価格は上昇すると見越して
みんなこれを喜んだ
地方自治体からすれば路線価の上昇は固定資産税等税収の増加に繋がり 企業は含み益という形で利益を得る
特に80年代 アジアの台頭や日本経済の高度化について来れない重厚長大産業は その不動産の含み益で株価を吊り上げ、不動産開発という打出の小槌を手に入れた
例えば 造船所後等はウォーターフロントとかいって 湾岸開発に供された
銀行も得をした
不動産という「値下がるはずのない資産」への融資は 優良大企業が自己ファイナンス(銀行に依存しない資金調達)できるまで成長した結果、融資先を失った銀行への福音となった
そうバブルとは時代遅れになりつつあった「戦時経済体制」の旧式エリート達の命綱でもあった
だが 少し考えればわかるはず
不動産なり株式価格は将来キャッシュフローの現在価値の総和(収益還元法)により決まるハズだと
果たして人口が減少局面に入り 成熟化する日本で 将来キャッシュフローは延びるの?か と
野村證券等は トービンのqを持ち出した
つまり 株価は純資産とリンクするから 不動産の値上がりによる解散価値(≒純資産の現在価値)の増大は 株価を引き上げる
株価が上がれば 株式保有者の資産を増やし 不動産の投資に繋がり それが不動産価格を押し上げ、というスパイラルを描くと
だが それは株価と不動産 片方が暴落すれば共倒れと負のスパイラルに繋がる わけだ
実際そうなったが

後はバブル期の腐敗 金屏風事件とか山一の話もあるんで是非読んでほしい