未熟による失速、独裁による興隆
戦略 組織 リーダーシップの観点から大逆転劇を冷徹に解明
http://www.bk1.jp/product/03152874
ミツゴ評価 ☆☆☆☆+☆×0.5(☆×4.5コ)
<書評>タイトルに騙されるな!
以前 このblogにて本書を取り上げた際、変な人が突撃してきた
まぁ どうでもいいが
本書はアジアのエレクトロニクス企業のソニーとサムスンを比較する事で企業の組織とリーダーシップを分析する内容である
間違っても「どちらが上」とか、「どちらが栄える」なんて内容ではない、「マンセー」を期待する人は読まないほうがいい
まして 同じエレクトロニクス企業でも コンテンツやゲーム事業に強いソニーと 半導体に強いサムスンとではコンクリフト(競合)する部分が相対的に小さいため、片方がシェア拡大をし もう片方の衰退なんて事はピントが外れた意見だ
さて、本書
投資の世界には常に二律背反な問題がある
限られたリソース(資源)を特定の分野に集中投資する事の是非である
強大なリーダーによる集中投資は高い収益を生み出す
が、当然 投資にはリスクがあり 失敗すれば莫大な損害が待っている
また、莫大な投資により高いシェアを獲得すれば、それだけその分野での「のびしろ」は小さくなるし、投資に対するリターンも小さくなる(収穫逓減の法則)
だから 多くの大企業は多角経営を志向する
が、多角経営は当然 集中や高シェアによる効率を犠牲にしかねない
また、多くのビジネスに手を出せば 当然多くのしがらみを抱える事になる
例えば ソニーがipodのような製品を作りたい、とする
ソニーにはコンテンツ分野がある(SMEやSCE)、彼等は当然 ネット上での P2Pや不法ダウンロードに悩まされている
ここで 部門間の対立が発生する
強いトップが采配を奮うべきだが 残念な事にソニーはかつての盛田昭夫のようなリーダーシップを持ち合わせていなかった
また 強いリーダーに依存していては多角経営は出来ない という事実もある(各事業部が強いリーダーに依存する為)
有能なリーダーは連続的には発生し得ない、だから歴史上多くの国や企業は滅んだ訳だ
これはサムスンにも投げ掛けられた問題でもある
サムスンの強味はイコンヒ会長による 迅速かつ大胆な意志決定にある
半導体市場は流動的で 環境への対応力が重要だ
サムスンは新型工場を設計と建設を同時にする事で 市場への対応を可能とした
が、ここにいくつかの問題が投げ掛けられる
既に70才に手の届くイコンヒ会長引退後、誰が同様のリーダーシップが取れるだろうか?
そもそも 強いリーダーシップは独裁的でもあり、リーガルなリスク(リーダーが反社会的な人物なら、誰も抑止が出来ない) その為コンプライアンスとしてはどうか(実際サムスンはこの理由でNYSEに上場出来なかった)
既に韓国内、韓国系の有能な人材を取り付くした為 今後の成長にはグローバル企業として非韓国系の人材が必要だが、それは組織的変革をもたらすのか
サムスンが今後の発展には多角経営が必要になるが その為の分権的組織が構築出来るか
等ある
極論すれば 本書のテーマは 集中VS分権 でもある
最後に1つ
使われているデータが05年等 些か古い
だから ☆×0.5マイナス
