1 Bから7万受け取った点について
 甲はオーダースーツ作ることはないのに、「作りますよ」とかいって、制作するように採寸などしてる。
 このことから、甲に「欺」く行為が認められる(246条1項)。
 そして、作られることはないのに、作られるものとしてBは錯誤に陥り、この錯誤に基づいて現金を交付している。
 したがって、この7万円につき、詐欺罪が成立する(246条1項)。(損害について後述する)。

2 パチンコで費消した行為について
(1) この行為にいかなる罪が成立するか。
 この点、詐欺罪の不可罰的事後行為とも。
 しかし、オーダースーツ代金の内金として支払っている以上、BとしてはこれはA社に支払ったものである。
 とすると、金銭はA社のものであるといえる。
 したがって、詐欺で予定されていた不可罰的事後行為でなく、A社との関係でなんらかの罪を構成するものと解する。
(2) では、甲に業務上横領罪(253条)が成立するのではないか。
 甲は社会経済上の地位に基づいて営業を継続的に行うものであるから「業務」。
 んで、実際に金銭につき甲が占有しているので「占有」あり。
 ここで、この金銭が「他人の物」といえるか問題となる。
 確かに、民法上は金銭所有と占有は一致する。しかし、取引の保護を目的とする民法と、財産秩序維持を目的とする刑法の解釈は一致する必要は無いので、なお「他人の物」といえる。
 そして、委託信任関係の趣旨に反して、所有者でなければできない、パチンコにおいて費消するという行為をしているため、不法領得の実現行為たる「横領」行為があったといえる。
 したがって、業務上横領罪が成立する。

3 Cからスーツを借りた行為ないしBにスーツを売却した行為について
 この行為につきいかなる罪が成立するのか。
(1) この問題は、スーツの占有が誰にあるのかの問題に帰着する。
 すなわち、甲がCから受け取った時点で占有が移転しているといえるならば、この行為につき詐欺罪の成否、処分行為の有無が問題、もしくは窃盗罪の成否が問題になる。この段階で占有が移転していないのであれば業務上横領が問題となる。
 そこで、占有の移転をいかに判断すべきかが問題となる。
 思うに、占有つまり事実上の占有は、①占有の事実、②占有の意思で判断される。
 そこで、この両者を相関的に見て判断する。
 本問では確かに、甲がCから受け取った時点で占有の事実としては甲にある。しかし、Cは「すぐに返してください」という強い占有の意志を持っている。そして場所的には徒歩数分しか離れていない。この事実と、Cの強い占有の意思からすると、甲に渡した時点ではいまだ占有は甲に移転していないといえ、ここでは詐欺、窃盗を問議すべきではない。
(2) では、Bにスーツを売ったことにつき業務上横領が成立するか。
 「業務」と「他人の物」は問題なし。「占有」しているといえるか。
 確かに先ほどCに占有を認めた以上ここで甲に「占有」を認めるのは矛盾するとも思える。
 しかし、先ほどの占有の判断は、詐欺窃盗の場合における占有の評価の問題に過ぎず、横領で問題とすべき、その保護法益たる所有権侵害をもたらす処分可能性の点から見た「占有」とはまた別のもの。ここで「占有」を認めても何ら矛盾ではない。
 甲が事実スーツをしている以上、処分可能性があるので「占有」していると矛盾なくいえる。
 そして、これをBに売るという、委託の趣旨に反して所有者でなければできない不法領得の意思の発現行為があり「横領」といえる。
 したがって甲に業務上横領罪。

4 Bから13万受け取った行為について
 オーダーのスーツだと「欺」いて、錯誤に基づき交付。13万円につき詐欺罪。

5 損害について
 ここで、7万と13万について、Bは金を払ったが、その対価として20万のスーツを手に入れていることから損害ががなく、詐欺罪が成立しないのではないかが問題となる。
 そもそも、詐欺罪は個別財産に対する罪であるから財産上の損害必要。ここで、ギモウされなかったら交付しなかったといえれば損害ありとする見解があるが、これでは損害を不要とするのと何らかわりないから妥当でない。財産犯なのだから実質的な損害を要するとすべき。
 そこで、真実を知っていれば交付しなかったという主張が、経済取引観点からみて合理的であるといえる場合に損害が認められると解する。
 本問ではオーダースーツと既製品。オーダースーツは「オーダー」であることそれ自体に社会的に付加価値がついているといえる。したがって、経済取引観点からみて合理的。
 普通に詐欺罪成立

6 飲食代について
 パチンコと同じく業務上横領

7 罪数
 詐欺は包括
 業務上横領は包括
(時間なくてこんくらいしかかけてない)
終了と同時にここを書き終わった感じ






難しく考えすぎた。時間もギリギリすぎた。実質間に合ってない。
業務上横領でいいのか不可罰的事後行為なのか
矛盾についてのところがどう評価されるのか。