1 設問1(1)前段について
Aは500万の返還請求ができるか。
この請求のためAは、①事理弁識能力を欠いていたこと、つまり意思無能力であったことを主張、②錯誤があったことを主張、③詐欺があったことを主張する事が考えられる。
(1) ①について
Aのこの主張は認められるか。
そもそも、私法においては私的自治の原則が妥当し、契約自由の原則の下当事者は自由な意思で自由に契約を締結することができる。これは尊重できる意思があることを前提としている。
逆に言えば、尊重するに値しない意思、つまり意思表示に瑕疵がある場合、意思のケンケツがある場合にはその意思は保護されず、無効や取消しうる意思表示になる。この精神は、民法にも明文で現われている(95条以下)。
そして、事理弁識能力を欠く、つまり意思無能力の場合は同じく尊重するに足りる意思がなく、意思がケンケツしている状態である。
そこで、意思無能力の場合はこれを主張して意思表示の無効を主張する事ができる。
したがって、Aは意思無能力を理由に意思表示の無効を主張できる。
よって、Aは不当利得返還請求(703条704条)して500万を返還請求できる。
(2) ②について
事理弁識能力を欠く状態であったから、錯誤がある可能性がある。
この場合、錯誤無効を主張して(95条)不当利得返還請求できる。
(3) ③について
Aが事理弁識能力を欠くことに乗じて、Bが詐欺をした事が考えられる。
この場合、詐欺取り消し(96条1項)を主張して不当利得返還請求できる。
(4) ①②③それぞれの要件満たす場合、競合することになるが、それぞれ要件が異なるし、表意者を保護する制度なので、表意者はそれぞれ選択的に行使できる。
2 設問1(1)後段について
Bの側から①②③を主張して絵画を取り返す事ができるか。
(1) ①の趣旨は意思無能力者の保護。相手方はその無効を主張できない。表意者のみが無効を主張できる(取消的無効)
したがって、無理。
(2) ②の趣旨も表意者保護。相手方は無効を主張できない。表意者のみが主張できる(取消的無効)
したがって、無理っす。
(3) ③も瑕疵ある意思表示をした表意者の保護。相手方は主張できない(120条参照)。
したがって無理。
3 設問1(2)について
Aの返還請求は、前述のように認められるとも。
しかし、これに対しBからの反論として、既に目的物が滅失しているため、かかる主張をすることは許されないというのが考えられる。
いかに解するべきか。
確かに、目的物が滅失した以上無効等主張することは許されないとも。
しかし、解除についての548条みるに、過失等がなければなお解除できるとの規定。
そして、解除の効果は遡及的消滅(直接効果説)、無効も最初から無効、取り消しも遡及的消滅、効果は類似。しかるに、無効主張等が許されないのはおかしい。
また、過失無い限り表意者を保護すべき。
そこで、滅失していても主張できる。
したがって、Bの反論は認められない。
よって、Aの請求は認められる。
4 設問2について
A非後見人、C後見人に就任。Aの行為は取消し得る行為(9条本文)後見人は代表権あり(859条1項)。。
Cには代表権あるから、Cによる取消し無効追認の行使は原則として可能(120条121条122条)。
しかし、本契約はCが後見人に就任する前になされたもの。
かかる場合でもこれらの権利を行使できるのか。
そもそも、後見制度は、被後見人にとって、現在、何が一番有益で被後見の為になるかを考慮して法律行為をさせる為に代表権等を与える制度。
とすると、すでに確定している法律効果については取引安全や相手方信頼保護のため取消し等することはできないが、現在不確定的であり権利として残っているものがあるならば、それが就任前のものであっても、現在の被後見人の為に行使できると解すべき。
そして、本問の無効主張等は未だ確定していない残存する権利。
したがって、就任前のこれらの権利もCは行使できる。
詐欺、錯誤は不要と思っていたが、設問2に、「取消し」とあったので一応書いた
1の(2)は、双務契約の清算過程での危険負担の類推かと思ったけど、「請求する前」だからこれは違うなって思って、似た場面の解除の条文を挙げて同じ処理にした。。
後見人就任前後とかシラネ
難しい。イミフ。
Aは500万の返還請求ができるか。
この請求のためAは、①事理弁識能力を欠いていたこと、つまり意思無能力であったことを主張、②錯誤があったことを主張、③詐欺があったことを主張する事が考えられる。
(1) ①について
Aのこの主張は認められるか。
そもそも、私法においては私的自治の原則が妥当し、契約自由の原則の下当事者は自由な意思で自由に契約を締結することができる。これは尊重できる意思があることを前提としている。
逆に言えば、尊重するに値しない意思、つまり意思表示に瑕疵がある場合、意思のケンケツがある場合にはその意思は保護されず、無効や取消しうる意思表示になる。この精神は、民法にも明文で現われている(95条以下)。
そして、事理弁識能力を欠く、つまり意思無能力の場合は同じく尊重するに足りる意思がなく、意思がケンケツしている状態である。
そこで、意思無能力の場合はこれを主張して意思表示の無効を主張する事ができる。
したがって、Aは意思無能力を理由に意思表示の無効を主張できる。
よって、Aは不当利得返還請求(703条704条)して500万を返還請求できる。
(2) ②について
事理弁識能力を欠く状態であったから、錯誤がある可能性がある。
この場合、錯誤無効を主張して(95条)不当利得返還請求できる。
(3) ③について
Aが事理弁識能力を欠くことに乗じて、Bが詐欺をした事が考えられる。
この場合、詐欺取り消し(96条1項)を主張して不当利得返還請求できる。
(4) ①②③それぞれの要件満たす場合、競合することになるが、それぞれ要件が異なるし、表意者を保護する制度なので、表意者はそれぞれ選択的に行使できる。
2 設問1(1)後段について
Bの側から①②③を主張して絵画を取り返す事ができるか。
(1) ①の趣旨は意思無能力者の保護。相手方はその無効を主張できない。表意者のみが無効を主張できる(取消的無効)
したがって、無理。
(2) ②の趣旨も表意者保護。相手方は無効を主張できない。表意者のみが主張できる(取消的無効)
したがって、無理っす。
(3) ③も瑕疵ある意思表示をした表意者の保護。相手方は主張できない(120条参照)。
したがって無理。
3 設問1(2)について
Aの返還請求は、前述のように認められるとも。
しかし、これに対しBからの反論として、既に目的物が滅失しているため、かかる主張をすることは許されないというのが考えられる。
いかに解するべきか。
確かに、目的物が滅失した以上無効等主張することは許されないとも。
しかし、解除についての548条みるに、過失等がなければなお解除できるとの規定。
そして、解除の効果は遡及的消滅(直接効果説)、無効も最初から無効、取り消しも遡及的消滅、効果は類似。しかるに、無効主張等が許されないのはおかしい。
また、過失無い限り表意者を保護すべき。
そこで、滅失していても主張できる。
したがって、Bの反論は認められない。
よって、Aの請求は認められる。
4 設問2について
A非後見人、C後見人に就任。Aの行為は取消し得る行為(9条本文)後見人は代表権あり(859条1項)。。
Cには代表権あるから、Cによる取消し無効追認の行使は原則として可能(120条121条122条)。
しかし、本契約はCが後見人に就任する前になされたもの。
かかる場合でもこれらの権利を行使できるのか。
そもそも、後見制度は、被後見人にとって、現在、何が一番有益で被後見の為になるかを考慮して法律行為をさせる為に代表権等を与える制度。
とすると、すでに確定している法律効果については取引安全や相手方信頼保護のため取消し等することはできないが、現在不確定的であり権利として残っているものがあるならば、それが就任前のものであっても、現在の被後見人の為に行使できると解すべき。
そして、本問の無効主張等は未だ確定していない残存する権利。
したがって、就任前のこれらの権利もCは行使できる。
詐欺、錯誤は不要と思っていたが、設問2に、「取消し」とあったので一応書いた
1の(2)は、双務契約の清算過程での危険負担の類推かと思ったけど、「請求する前」だからこれは違うなって思って、似た場面の解除の条文を挙げて同じ処理にした。。
後見人就任前後とかシラネ
難しい。イミフ。