サービス残業がしばしば美化されていることからもわかるように、この国では苦労が評価される。

僕は苦労そのものに価値はないと思う。重要なのは何のためにそれをしたのか、そこから何を学び、何を生み出したか、だ。

苦労話を自慢げに話す人や、若い奴はもっと苦労すべきだなどと論拠なく言い放つ人を見ると、その人たちが無邪気な善人であるぶんだけ、暗い気持ちになる。

僕はなるべくなら楽しいことしかしたくない。さもなくば、僕の周りにいる誰かを楽しませることだけしたい。むろんその過程では努力が必要だろう。楽しく生きるために、退屈に生きる人よりエネルギーが必要なのは当たり前のことだ。そしてそれを苦などというネガティヴな響きで汚したくはない。