- ラブ&ポップ―トパーズ〈2〉 (幻冬舎文庫)/村上 龍
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今さらながら読んだ。援助交際をする女子高生を描いた、1996年発行の長編小説。当時流行っていた歌謡曲の歌詞や、テレクラ、伝言ダイヤルといった一昔前の文化がたっぷり描かれていて、時代を感じさせる。けれども、描かれている現代日本の世相や、若者たちの心の動きは今とそれほど変わらないように思える。
一読して驚いたのは、初めて本格的な援助交際に臨もうとする主人公の女子高生が、思いのほか「まとも」な感覚の持ち主であることだ。彼女たちは彼女たちなりに、モラルも、正義感も、友情も、美意識も、優しさもしっかり備えている。その上で、援助交際という歪んだ世界に入っていく過程が恐ろしく克明に描かれ、そして最後には、この作品なりの「援助交際をしてはならない理由」が提示されるという仕組みだ。読んでいると自然に主人公に感情移入してしまい、彼女が危ない目に遭いそうになるとこちらもハラハラしてしまう。そういう、飽きさせない物語の工夫もよくできている。
それにしても村上龍という人はすごい作家だ。十人以上の女子高生に取材をしたたまものとはいえ、男がここまで女の子の目線に立った小説を書けるものなのか。ちなみに最後の数ページでちょっとした落ちも用意されていて、タイトルの意味も明らかになる。これからお読みになる方はそこにも注目してほしい。