MUSIC/フジファブリック
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特定の思い出や情景と結びつけられた音楽を聴いて涙腺がゆるむことはよくあるが、純粋に初めて聴いた音楽によってそのような反応を起こすことは、極めて少ない。一流のオーケストラの名演を生で聴いても、そこまでの感動が得られることは珍しい。


フジファブリックの「MUSIC」というアルバムが感動的なのは、ボーカリストの夭折という悲劇的な挿話とどこまで関係があるのか、僕にはよくわからない。でも、それを言うなら他にも早くに死んだミュージシャンはいくらでもいる。そしてモーツァルトもシューベルトも、早死にしたために天才と呼ばれたわけではない。


たとえば、「Bye Bye」という曲。


君が居なくても こちらは元気でいられるよ

言い聞かせていても 涙が出るよ


君の選んだ人はとても優しい人なんだろな

遠くに行ってもそう どうか元気で


普通の歌詞である。けれども淡々としたこの作曲者特有のメロディに乗せて聞くと、不思議と真に迫るものがある。まるで実際に振られた直後にレコーディングされたかのように、傷つきやすく真率な音楽。こういう曲を作る男が、30代、40代の壁を越えたときにどんな風に成長していくのか、見てみたかったと惜しむのは僕だけではないはずだ。