昨日、鈍さと強さについて少し書いた。数年前、渡辺淳一が「鈍感力」という本を書いてヒットしたのは記憶に新しいが(もちろん読んでない)、ある程度の鈍感さ、というのは確かに生きてゆくのに欠かせないものだと思う。人は生きている限り必ず失敗をするし、不幸にも出会う。そのすべてにいちいち鋭敏に反応し悲嘆に暮れていたら、命が何個あっても足りない。世の中の人がみんなハムレットだったら、うっとうしくして仕方ないだろう。けれども、万事につけて鈍感に臨めるようになってしまった人は、これはただの俗物である。どう生きてゆくのが最も美しく、実用的であるか。そういえば、僕の好きなこんな言葉があった。


強くなければ、生きていけない。優しくなければ、生きている資格はない。


――レイモンド・チャンドラー「プレイバック」より