昔の偉い人と、偶然意見が一致すると、なんだか自分までもが偉くなったような気がして、うれしいものである。
最近読んだ、太宰治の「秋」という短いエッセイの中に、次のような一文を見つけた。
秋ハ夏ト同時にヤッテ来ル。(中略)夏の中に、秋がこっそり隠れて、もはや来ているのであるが、人は炎熱にだまされて、それを見破ることが出来ぬ。
手前味噌で恐縮であるが、僕が以前ブログに書いた、
夏の中に秋が入っているように出会いの日から始まっていた別れ
という短歌と、同じ着想である。
もっとも僕と太宰とでは文章家としての格が違いすぎるし、何よりも僕には破滅の才がまるでない。毎日野菜ジュースを飲み、玄米を白米に混ぜて食っているような姑息な男に、したり顔で秋を語る資格はないように思える。
それにしても、そろそろ秋も終わり、冬のはじまりですね。風邪さえひかなければ、この季節の清潔な空気はけっこう好きです。寒い季節に始まる恋が好きだと、昔好きだった女も言っていました。