友人と、生きる理由について語り合ったことがある。大学生のころだ。
「なるべく多くの精神的快楽を得ること」と、僕は言った。
「最も自分に相応しいかたちで死ぬこと」と、彼女は言った。
その彼女は、ある年の年賀状に、「人生は、穴のないビリヤードみたいなものだ」と書いた。
ある年(確か未年だった)の年賀状には、「この道しかない春の雪ふる」という、山頭火の句が書かれていた。
そんな彼女も、何年か前に結婚して、今では東京近郊の静かな町で幸せに暮らしている。
去年の年賀状には、二人目の男の子の写真が印刷してあった。