花粉が猛威を振るったころ、マスクをつけている人をよく見かけた。その中には、マスクをつけている状態で知り合い、その後、マスクを外したところを見た人がいる。彼らに共通していたのは、「マスクを外したときの素顔よりも、マスク越しに僕の想像していた顔のほうが美しかった」ということである。ちなみにこれは、対象が男性のときも、女性のときも、同じである。


こういう感じ方が僕特有のものなのか、みんな大体同じように感じるものなのかは、わからない。ただ少なくとも僕にとっては、隠れている部分が多いほど、世界は美しく見えるようにできているということになる。あとひとつ改めて思い知ったのは、一般的に人間の顔の美醜を最も強く決定付けるのは「目」であると思われがちであるけれど、鼻と口だって相当に重要であるということだ。これはまあ、一般論として当たり前の話ではある。


ちなみに僕も、つい先日まで長らくマスクをつけて日常生活を送っていた。マスクなんかつけているとかっこ悪くていやだな、とどこかでずっと思っていたのだけれど、実は周りの人からすれば、「あの人、マスクつけてるときのほうがハンサムだったのに」と思われているのかもしれない。そう思うと、少しだけ暗い気持ちになる。