三日月や戻れば涼しもとの鞘


鞘から抜かれたばかりの白い冷たい刃。それとも、投げたこの手に戻ってくる、忠実なブーメラン。一度はちぎれそうになったその人との糸がかろうじてつながったとき、空にかかった薄い三日月はそんな諸相を映じて白々と輝いていた。本来であれば夏の句としたいところだが三日月は秋の季語。伝統というのはなかなかにうるさいものだ。