田舎からツクシが送られてきたので、
卵とじにして食べた。
ツクシなど食うのは実に20年ぶりぐらいだった。
かつて食べたツクシの味は、子供の舌には苦く、
まともに食べることができなかった覚えがある。
ツクシというのは何故か子供にとって
ファンシーなイメージが定着している植物だ。
そのイメージのままあの渋い食べ物を口にしたら、
そりゃあたまらない。
今はもう僕もいい大人なので、
苦いものも楽しんで食べられるようになった。
コーヒーもビールも牡蠣もサザエも、皆好物である。
というわけで、ツクシもたくさん頂いた。
とはいえ、味自体、特筆するほどうまいわけではないし、
「雑草を食べている感」は終始つきまとって
離れることがなかったのも事実。
それなりに味わいがあるとは思うものの、
一番好きな食べ物はツクシである、
と胸を張って言える人というのは、
それほどたくさんはいないだろうという感じだ。
要するに、ツクシを食することは、
春を祝う一種の儀式めいたことなんではなかろうか。
そういえば、一年のうち限られた時期にだけ食べる
苦い食べ物に、クワイというものもある。
あっちの場合は正月だが、
意味合いは似たようなものかも知れない。
ちなみに僕は幼い頃、
おせち料理の中に入っていたクワイを
里芋と間違えてつまみ食いし、
驚愕してそれを口から吐き出したことがある。
腐って味が変わったとでも思ったんだろうか。
その後特に怒られた記憶がないところを見ると、
周りの大人も僕の間抜けな姿をおかしがっていたんだろうと思う。