テレビや映画で聞く日本語の多くは標準語、または東京弁と呼ばれるものである。関西人とて、ごく幼いころからこうしたメディアを通して標準語には自然に触れているわけで、流暢に標準語をしゃべることが難しくとも、基本的な発音ぐらいは分かっているつもりだ。


 つもりだ、と書いたのは、たまにそれを分かっていないことがあるからだ。つまり、関西のなまりを標準語と勘違いするケースがまれにあるらしいのである。


 学生時代、どういう話の展開でその話題が出たのかよく分からないが、「4月の満月」という言葉をどのように発音すべきか、という話になった。


 僕を含めた関西人グループは、「4月」を「ゴジラ」や「ゴルフ」「始末」といった言葉と同じイントネーションで発音するのが標準語だと主張したのに対し、関東グループは一様にこれに反論。正しい発音は、「芝居」「くるみ」「めだか」といった言葉と同じ発音だ、と言うのである。


 要するに関西流では1音目にアクセントが、関東流では2音目(ん? 自信がない)にアクセントがくるわけだ。


 まあ、東京人、横浜人を含む関東勢が口をそろえてこういうんだから、それが標準語なのだろう。でも、関西人の感性から言わせてもらうと、「4月」を「芝居」のイントネーションで発音すると、なんだか軟弱な響きになる気がするのだ。


 たとえばある種の若者が「クラブ」を「芝居」のイントネーションで発音して、「じゃ、クラブ行っとくー? みたいなー?」などと言ったりするだろう(しないか?)。それと似たような、だらりとした印象を受けるのだ。「ゴジラ」の発音で「4月」と言ったほうが、キリリと引き締まり、「正しい言葉です!」という感じがする。


 って、あまりこの調子で書いているとしまいに関東の人に叱られそうなのでやめときます。大体、間違っていたのはこっちですしね。すみません。


 そういえば少し前に、「4月の雪」という韓国映画がありましたね。CMも何度か観た記憶があるのだけれど、結局どのイントネーションで発音していたのか覚えていない。


 知らない間にほかにも間違った標準語イントネーションを信じ込んでいるんじゃないかと思うと、不安で夜も眠れない今日この頃である。まあそんなことないけど。