プロ野球の世界では、バッターの打率は大体3割を超えれば優秀とされる。超一流のバッターですら、1シーズンを通して4割を超える打率をたたきだすことはまず、ない。


 要するに、3回に1度ヒットを出すのがバッターにとっては限界であるわけだ。「ピッチャーVSバッター」という構図がよく取り上げられることがあるが、純粋に「ヒットが出るかどうか」という視線で見るならば、ピッチャーの方がもともと圧倒的に有利なのである。


 それにしても、時速120キロを超えて飛んでくる小さなボールを棒切れで叩き返すというルール自体、考えてみたらちょっとシュールで面白い。


 もちろんバットだって、よりボールを打ち返しやすいように研究された結果今の形状に落ち着いた道具なんだろうが、それでもやっぱりあれはあくまで「棒」の延長である。テニスや卓球のラケットが正確にボールを弾くことを目的に進化を遂げて今の形になったのと比べると、ずいぶん原始的な道具ではないか? あるいはゴルフ・クラブと比べてもいい。ラクロスのスティックと比べてもいい。野球のバットほどシンプルなスポーツ用具というのはなかなか見当たらないことが分かるだろう。


 しかし、それでもやはり、今のバットの形状がもっとも野球というスポーツを盛り上げるのに適した形なのは間違いないだろう。


 たとえばテニスみたいにラケット状の器具を使えば、バッティングのコントロールは今よりもずっと向上するだろうし、ヒットも容易に出せるだろう。どんな変化球を駆使したところで、空振りなんてもはやあり得ない。でも、それでは全然ゲームが盛り上がらない。盛り上げるためにはバッターがそんなに簡単に打ちまくっては困る。だからわざとあんな打ちにくいのっぺりとした「棒」を持って人々はバッターボックスへ立つのだ。


 ゲームを盛り上げるため、あえて道具の進化を止めたスポーツ。野球以外に、そこまでストイックなスポーツが果たしてあるだろうか?


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 こんなひねくれたことを書いていますが、もちろん今日はテレビで王ジャパンを応援していました。第1回WBC優勝、おめでとう!