僕は昔から朝が苦手だ。早起きが嫌いだ。
今日も、せっかく買っておいたパンを食べられないまま、家を飛び出した。
昔の漫画みたく、食パンをかじりながら走ってみたい気もしたけれど、あいにく僕が昨日コンビニで買い求めたのはメープルブレッドというちょっとばかりオシャレな奴で、どうも走りながら食らうべきものではないように思えた。
会社は駅から徒歩12、3分のところにある。距離にしたら1キロ強というところか。
この距離は個人的に、燃える距離である。なんとか立ち止まらずに、それなりの速度を保ちながら走り切れる、ギリギリの距離なのだ。こう書くといかにも体力的にしょぼい人のようだが、実際、その通りである。
しかし、考えてもみてほしい。
僕は早起きができないことによって、わざわざ早起きしてジョギングするまでもなく、ただ通勤するだけで走ることができているのだ。これってある意味一石二鳥なのではないか? 「早起きは三文の得」、あれは農耕社会が生み出した旧時代の幻想に過ぎなかったのではないか? 僕は人ごみの中を駆け抜けながら、そんな真理に到達したのだった……。
皆さんも、あえて時間ギリギリに起床して、この爽やかな通勤を実現しませんか? 睡眠不足と運動不足を同時に解消する究極のライフ・スタイルをともに実践しようじゃありませんか!
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……すみません、やっぱり僕は明日こそメープルブレッドを食べたいです。ちゃんと家で。