さて、自分はガンダムシリーズが大好きです。
放映当時の勧善懲悪主流のアニメの時代に一石を投じるシリアスな人間ドラマ。
特に富野監督作品は「皆殺しの富野」といわれるほど善悪問わず数多くの登場人物が散っていきます。
そんな中で、最高の信頼関係を築いた指揮官とパイロットと言えば、アムロとブライトの二人ではないでしょうか?
UC93 シャアの反乱時には大佐にまで昇進しロンド・ベル隊の司令官になったブライトと彼の信頼を全面に受け最強のニュータイプとしてMS隊の指揮を執るアムロが、思春期を大きくこじらせてしまった(そんな彼がガンダムキャラで1番好きなのですが^^;)シャアとの決戦に挑みます。

・・・と言えば聞こえはいいですが、そんな2人もはじめからこんな関係ではなかったことは皆さんご承知の通りです。

アムロは1年戦争時はオタク気質な弱気な少年でしたし、ブライトは士官学校を卒業したてのヒヨッコでした。
自分の能力に全面の自信を持てないのに方や戦闘の才能が、方や艦の最高権力が転がり込んできて、どっちもそれをどちらかというと迷惑がってましたから、いやいややってる二人が責任を擦り付け合うのは当然でしょうね^^;
有名なシーンであるブライトがアムロを殴って「殴ったね!親父にもぶたれたことないのに!」「殴られずに一人前になったやつなのどいるか!」という場面。
その後、ブライトの隠す期待に気づかされたアムロが出撃し敵を撃破。
ブライトの人身掌握術が称賛され、期待に応えたアムロも立派というシーン・・・のはずなんですが、自分はこのシーン、かなり昔から疑問に感じてます。
まずは二人の立場の問題。
アムロ・・・テム・レイ大尉の息子ということですが、確か軍属ではなかったと記憶してます。
ブライト・・・士官学校出身の士官→つまり民間人を守り、敵を殺すための給料をもらっている。彼は動員された下士官ではなく、高級士官です。
当然ながら戦闘機の操縦訓練も受けていたでしょう(MSはまだかなり限定されたエースのみが極秘にシミュレーターで訓練していたと思われる)
ガンダムにのって敵と戦う義務と責任はブライトにこそあります。
「俺が乗れりゃとっくにやってる!」と言ってましたが、コアファイターの訓練生であるリュウ・ホセイは存命で、特に戦闘が下手な描写はありません(カイ・ハヤトのバックアップをよくこなしている)どう考えてもガンダムのメインパイロットはリュウと断じなければならないのです。
アムロは技術士官の息子でメカいじりが好きという特性からはどう考えても徴用するなら整備班です。アムロはその後νガンダムの開発の指揮をとってるところからも、メカニックとしての才能も有しています。
この時点でのブライトの心中を邪推するとこんな感じでしょうか・・・
偶然最新型MSに乗り込んだガキがなんとあの赤い彗星と戦えてしまっている!?
訓練で自分を殴っていい気になっていた上官たちを皆殺しにしたほどの猛者と互角なんて何かの奇跡だ!
これでは、艦長代理としての自分の地位はいつ他の同輩に崩されるかわからない!?(彼が艦長代理を任命されたのは能力よりも五体満足な司令部で1番階級が上だっただけの可能性がかなり高く、実際彼を越える階級はリード中佐のみ)ほら、案の定リュウが「ガンダムは俺に任せた方がよくないか?」と言ってきた!?
あのガンダムはガキ乗って赤い彗星とまともにやれる代物だぞ?リュウが乗れば大活躍して行軍を有利にできるかもしれんが、その先に待ってるのはリュウの昇進と俺の破滅だ!
ならば奴には1番役に立たない戦闘機モドキを与えて徴用兵とのバランスをとろう。
これで突出した活躍はできない・・・
ガキどもが出撃を拒否したら死ぬほど修正を加えてやる・・・適当に一言根性論を言っとけば正当化できる。
あとはホワイトベースと連邦のMSの性能が頼りだな・・・

・・・・とまぁこんなところでしょうか?^^;
はっきり言って、自分史上最悪にブライトを貶めた文章です^^;
(言い訳すれば、自分は「ZZくらいからのブライト」は好きです^^;)
でも、こういったある意味オールドタイプの典型的な性質があるから、彼はその後経験を積み、人間的にも成長し、包容力と決断力をかねた名将にはなりましたが、ついにはニュータイプ足り得なかったのではないでしょうか?

宇宙世紀を代表する名コンビは結局、本当の意味での信頼をしていなかったのかもしれません。
シャアほどはこじらせなかったにしても、十分思春期のままだったアムロは戦禍に消え、軍務にかまけて家族と向き合うことを怠ったブライトは息子、そして「息子を討った悲運の英雄」という最高且つ最低の名誉を得ることになってしまったのは、この時代の価値観に片寄った考え方かもしれません・・・